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モハメド・エラリアン:予想されていた金利上昇にみんなが驚くワケ

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、米金利上昇は予想されていたことであり今さら驚くべきではないと諭している。


とても多くの市場参加者が最近の米利回り急騰に驚いているのが目に付く。
ファンダメンタルズ上の要因はこのところ明らかだった

エラリアン氏が23日、米国債利回り急騰自体は本来サプライズではなかったとツイートした。

23日の米10年債利回りは5.10%前後と、前日より15bp程度上昇した。
長期金利上昇を受け、S&P 500は前日比-0.75%の7,706.39で引けた。

エラリアン氏によれば、市場は以前から金利上昇要因を承知していたはずとし、いくつか主因を挙げた。

  • 政府・テック企業などによる大規模資金調達
  • 米経済の強さ
  • 日・中・湾岸諸国が米国債を買わなくなった
  • イラン紛争の終結が困難

誰もが米金利上昇圧力を承知していたはずなのに、いざ現実に上昇が起こると、多くの人がそれに驚いている。
エラリアン氏は、この理由を市場心理にあると指摘した。

大きな理由であるべきでないのにそうであった理由とは心理的アンカーだ:
2008年世界金融危機の後の利回りを人為的に下げ抑制した10年余りによって集団心理が形成されていたのだ。

2022年頃まで長く長く低金利が続いた。
現在の市場参加者には今の金利水準を経験したことのない世代も多い。
老人からすればさほど異常とは思えない金利でも、経験したことのない人たちからすると《ありえない高金利》と感じられてしまう。
さらに、問題なのは水準だけでなく方向だ。

米10年債利回り
米10年債利回り

仮に今回の金利上昇が循環的あるいは短期的ボラティリティによるものでなく趨勢的な金利上昇期に入っているとすると、前回趨勢的金利上昇で5%を上抜けたのは1966年まで遡る。
この年までに大学を卒業した人は実に戦中生まれだ。
金融・投資の世界に、今回のような記憶を持った人はほとんど残っていない。

さて、エラリアン氏は長期金利上昇の筆頭に政府・テック企業の旺盛な資金需要があると指摘している。
これはFPの分析とも一致する。
エラリアン氏は政府とテック企業が市場の資金を取り合う構図から、クラウディング・アウトを懸念している。
同氏はかつてPIMCOでCEO兼CIOを務め、債券王ビル・グロス氏とともに同社の全盛期を築いた投資家だ。

エラリアン氏の古巣PIMCOが最近、政府と企業の間の資金の取り合いを検証したコラムを発表している。
それによれば「データは米国債による直接のクラウディング・アウトを裏付けていない」という。
単純に受け取れば、エラリアン氏の指摘と相反するようにも聞こえるが、決してそうではない。
PIMCOの分析はクラウディング・アウトのイベントをかなり狭く定義しており、彼らの定義でのクラウディング・アウトは起こっていないという主張なのである。
気になるのは、PIMCOの定義が狭義すぎて、熟読しない限り誤解をしてしまうかもしれない点だ。

これなども「心理的アンカー」のなせる業なのではないか。
前回米国で大規模なクラウディング・アウトが指摘されたのは1980年代のレーガン政権の時代に遡る。
現役世代に明確なクラウディング・アウトの記憶はなく、心理的アンカーが形成されているのではないか。
こんなことも財政支出に寛容な世間の風潮の一因になっているのかもしれない。

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