アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、AI分野についてじっくり多角的に語っている。
これら企業は5年前に投資家が投資した時とはかなり異なる企業になっている。
ダモダラン教授がProf G Marketで、ハイパースケーラー等大手テック企業の事業モデルが大きく変化していると指摘した。
ダモダラン教授は最近これら企業の資本投下に対する限界リターン(営業利益の変化÷投下資本の変化)を調べ、限界リターンの大幅な低下を指摘した。
この低下は、AIインフラへの莫大な投資にともないこれら企業が資本集約的なモデルへと変化したことを意味するという。
教授は、この変化が良いことでも悪いことでもないと断りつつ、投資家は少なくともこの変化を認識すべきと説いていた。
資本集約的な事業を経営したことのある人なら誰もが言うように、それはとても異なる事業モデルだ。
AI以前にこれら企業が採用してきたモデルよりも価値創出がはるかに難しい。
以前は必要な追加投資が小さく限界利益率の極めて高かった企業群だったが、今では投資なくして利益拡大が難しい事業へと変貌した。
ダモダラン教授は、この変化が必ずしも悪いことではないと言いながらも、一時的な変化ではなく、前途多難と見ているようだ。
やっている本人たちも目的地を理解していないのでは
最近、上場企業によるAI投資の発表で株安となる事例が見受けられる点について、ダモダラン教授は背景を解説した。
「Facebookがメタバースでの投資失敗から学んだはずの教訓は、投資は簡単、支出は簡単だが、なぜ資金を投じるのか、事業モデルはどうなっていくのかを市場に理解させるナラティブを生み出すことも同様に重要だということ。
これら会社への投資家(訳注:教授はマグニフィセント7中NVIDIAとTeslaを除く5社の株を保有中)として、私は彼らが資金を投じることについては心配していない。
それだけの力はあるだろうし、成長もするだろうが、どの会社もどのような事業モデルを実現したいと考えているのかはっきりと述べていない。」
ダモダラン教授は、企業が市場に投資の理由・事業モデルを十分に納得させていないため大型設備投資への不信感が増しているのだという。
教授はこれが企業の透明性にかかわる問題であるとする一方で、企業の側も投資の理由・事業モデルを明確に理解できていないのだろうと推測した。
大手テック企業は、目的があって工場を建てるか、工場を建ててから目的を考えるか、選択を迫られたとの見方だ。
(次ページ: Amazonのみが苦難を経験している)
