アスワス・ダモダラン教授は、ハイパースケーラーの中で透明性を最初に改善する可能性が高い企業としてAmazonを挙げている。
AmazonはITバブルを経験し、その後もキャッシュフロー等の業績について苦労してきたためだ。
同社は苦しい時期を市場との対話を交え切り抜けてきた。
「だから、マイナスのキャッシュフローについて準備できている企業を1つ選ぶならAmazonだ。
Amazonは以前に似た光景を経験している。
過去25年、それを乗り越えてきた。
Amazonのキャッシュフローはプラスとマイナスを行き来し、その度に回復への道を見出してきた。
Meta、Alphabet、Microsoftにとっては対処したことのない新たな境地になる。」
最終顧客の払う金額が市場規模を決める
ダモダラン教授は、マグニフィセント7等大手ハイテク企業が経営不振に陥るとは考えていない。
いずれも既存事業が稼ぐ力を有しているためだ。
それでも、この発言を見る限り、苦難の先行きを予想しているように見える。
教授は、AI分野についていくつか心配事を挙げている。
最終的な製品やサービスを顧客が買っていないなら、お互いから収入を受け取り合っても何の意味もない。…
アーキテクチャーが売上の80%ではいけない。
健全な事業では、アーキテクチャーは売上の10、15、20%でないといけない。
残りは、企業であれ個人であれ、最終顧客から来ないといけない。
しかし、AI分野では現在そうなっていない。
AIを個人向けに提供するなら、最終顧客はその個人となり、売上は顧客による課金となる。
しかし、個人がAIサービスで課金する金額の規模はまだ相当に小さいだろう。
一方、企業が顧客なら、AIはいわば中間財だ。
その企業を最終顧客と定義する場合でも、その企業から持続的に得られる売上金額は、その企業の売上高によって限定される。
顧客企業が売上高のうちのどれだけをAIに支払えるかが上限だ。
こうした金額の和がAI分野が持続的に上げることのできる売上の規模となろう。
現状のAI関連企業は、まだそうした個人顧客・企業顧客へのアクセスさえプロセスの途上にある。
現状の売上は、業界内のAI向け製品・サービス(これも中間財)の企業向けがほとんだ。
つまり、今計上されている売上高は過渡的な数字なのだろう。
しかも、業界内でのベンダーファイナンスや循環売買に似たスキームさえ広がっている。
ハイパースケーラーの一部が開示する当期純利益に他社への投資の含み損益の変化分が算入されていることについて、ダモダラン教授は、当期純利益は信頼できないと話す。
それら企業が公表したとおり、その投資が戦略上の長期投資であれば、評価替えによる利益計上をすべきでないという。
一方、それが純粋なトレーディングなら、投資家はこれら事業会社にそれを求めていないだろうという。
(次ページ: SpaceXの目論見書から垣間見えるAIインフラの収益性)
