デービッド・アインホーン氏率いるグリーンライト・キャピタルが、2026年第2四半期の投資家向け書簡で、FRB新議長やSpaceXのIPOについて触れている。
「グリーンライト・キャピタルのファンド(以下「パートナーシップ」)は2026年第2四半期、手数料・費用差引後で-4.3%、年初来で+1.9%のリターンとなった。
S&P 500のリターンは同四半期+15.2%、年初来+10.2%だった。」
エクスポージャーの平均はロング105%、ショート63%。
第1四半期こそ保守的なポジションで絶好のスタートだったが、第2四半期は振るわなかったようだ。
グリーンライトは第2四半期も「資本保全」を重視する保守的なポジションでスタートしたが、結果は市場全体が大幅に回復し、予想していなかった損失で終えることになった。
「ロングはネットで9%のリターンとなったが、ショートも同様の金額規模の損失となり、いずれの側も大きなアルファを生まなかった。
損失の原因は、いくつか高くついた売買判断やマクロの逆風によるもので、主に金と米金利での大きな損失により約4%の損失となった。」
つまり、株式のロング/ショートでの損益はトントンだったが、マクロのポジション(金と米金利)が足を引っ張ったということ。
第1四半期までリターンに貢献してきた金とSOFR(担保付翌日物調達金利)先物のロングが逆回転したのだろう。
グリーンライトは、金価格上昇と短期金利低下に賭けていたためだ。
今回の書簡では、ケビン・ウォーシュ新FRB議長のインフレ退治への強い姿勢に対する期待が述べられている。
ただし、利上げを期待しているのではない。
実際には利上げが行われず、ウォーシュ議長の強い言葉が市場に「自己実現的な反応」を促し、それがインフレを低下させると予想しているのだ。
「市場は利上げを予想するが、私たちの考えは異なる。
今年これまで、私たちの見方が市場と異なり、コストを生んできた。
仮にプランA(訳注:市場が自己実現的にインフレを低下させること)が機能してFRBが今年利上げしない場合、私たちのポジションは損失の一部を取り戻すだろう。」
書簡では当該四半期のトピックスとしてSpaceXの1.75兆ドルのIPOにも触れ、これが象徴する様々な可能性を列挙している:
- 大規模な市場のミーム化
- 市場が「壊れた」証拠
- IPOルールの逸脱(含む、インデックスへの早期採用)
- バリュー投資への侮辱
書簡は、SpaceXのIPOの応援団について2つの問題点を提起している。
1つは、議論の姿勢だ。
「1兆ドル(訳注:イーロン・マスク氏による2030年の売上高目標)がAmazonやWalmartの年間売上高を超えている点を指摘し、擁護する投資家に根拠を尋ねたところ、彼は怒り出し、根拠を述べる代わりに話を変えてショート・セラーの批判を始めた。」
議論の中身でなく、議論する相手の属性だけをあげつらい批判するのは、無能な論者に共通する特徴だ。
また、書簡では、長い期間マイナスのキャッシュフローが予想される発行体に投資適格の格付を与えるという異例の取り扱いを行った格付会社に対し強く批判している。
「ムーディーズによれば、長年にわたりキャッシュフローがプラスになると予想されないにもかかわらず、SpaceXは金融機関以外で最大の投資適格の借り手となる能力を備えている、のだという。」
格付会社がおかしなことを始めると金融市場でおかしなことが起こるのは、サブプライム/リーマン危機で思い知らされたとおりだ。
格付会社がリスク評価より商売に走っているのではないかと注意する必要がある。
せめてもの救いは、債券市場がSpaceX発行の社債について厳しい評価を下し、ジャンク債レベルのスプレッドを要求していることだ。
書簡は、SpaceXのIPOが相場の節目を象徴している可能性を示唆した。
これら(SpaceXの事業計画で述べられた)可能性を適切なリスク調整後の割引率を用いて割り引いた場合、SpaceXの時価総額に近い数字にはならないと私たちは疑っている。
もちろん、それは株価が上がらないことを意味するわけではない。…
このIPOは、大きな投機的なピークに近かった相場だったと、後に振り返ることになるのではないか。
