為替予想はともかく、このインタビューで注目なのは佐々木融氏による様々な仮説(必ずしも予想ではない)にある。
佐々木氏の仮説をいくつか紹介すると
- 利上げをしても長期金利が追随しない可能性もある。
インフレ懸念の後退による長期金利押し下げ圧力も考慮すべき。 - 実質金利がマイナスと極端な状況の場合、利上げした方が経済にプラスになる可能性がある。
家計は大きく預金超過で、低所得者層や高齢者層が購買力を失っている。
企業でも、インフレや円安は人手不足の原因に。
「日本は教科書的に利上げすると景気にネガティブと考えるが、それは多分インフレ率より金利が高い時の話。
今の日本のように実質金利がマイナスで通貨がボロボロに弱い国は、むしろ利上げしないとマイナスになるのではないか。」 - 仮に財政懸念が高まり日本国債が格下げになる場合、邦銀のドル貸出のためのドル調達が難しくなる。
日本企業はドルで借りるのでなく円で借りてドル転する、つまりドルが売られることになる。 - 「インフレが進むなら株価は上がる。…
GDPと日経平均の間にはある程度相関があり、過去5年平均の名目成長率3.9%が続くとすると、10年後の名目GDPは1,000兆円、相関どおりに行けば日経平均は12万円になる。…
その相関から見ると、今の7万円は行き過ぎで、7万円になるのは再来年ぐらいになる。」 - 4-6月の実質GDP成長率は1.1%と高かったが、上下動の範囲だろう。
アベノミクスの前後で実質成長率は0.8%と変わっておらず、膨らんだ名目の数字に目を取られて好景気と感じている。
そして、最も重要な仮説(予想ではない)は高市政権の真意にかかわるものだ。
「2027年度予算で…利払いが16兆円。
このレベルの長期金利が続くと8年後ぐらいに利払い費が30兆円ぐらいになりそう。」
2025年度の利払い費10.5兆円と比べても途方もない増額になる。
しかし、佐々木氏は、この大幅な増額を「ファイナンスする方法」があると話した。
インフレにすることだ。
インフレにしてしまえば、税収は増えるので、それを選ぶことも考えられる。
…徹底的に短期金利を上げさせなければ、インフレになり利払い分を賄える。
長期金利も上がり、利払い費ももっと増えるが、多分、最後の最後はインフレの方が勝つ。
日銀に国債を買わせ長期金利を抑えることができる。
その選択肢を取ろうとしているのなら、日本はかなりのインフレになる。
政府が財政破綻すると、その直前近くまで実質金利が低下することがある。
財政懸念と実質金利低下は直感的に相反するように聞こえるが、もちろん理由がある。
財政懸念が高まり、インフレが高まると、金利上昇を抑えるために金融抑圧が行われるのだ。
日銀が利下げを遅らせたり、国債買い入れを行うことは、外形的には金融抑圧と一致する行動様式だ。
佐々木氏が提示したシナリオは、(口にこそ出さないが)政府の真意はインフレ税による財政の持続性回復ではないかとの仮説である。
振り返れば、過去数年の財政の改善も主因はインフレ・円安だった。
日本において政府債務のほとんどが国民によって保有されていることを考えれば、政府が潤うには国民が負担せざるをえないことを意味している。
国民が増税や歳出削減での負担を拒否するなら、市場はインフレによって負担させようとするのかもしれない。
そして政府は、内心それを是としているのかもしれない。
政府と国民が財政再建をウィン・ウィンの関係で行いうる方法は実質成長だ。
しかし、アベノミクス前後の実質成長の数字を見る限り、悲しいかな、ほとんど期待できないと考える方が現実的だろう。
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