アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、本人のスタイルとは異なり、パッシブ投資とバイ&ホールドを勧めている。
「破綻には2つの道がある。
1つは米国が利払いをできずデフォルトする。
もう1つは、債務返済のために貨幣を増発する。
いずれも選択肢だ。」
ダモダラン教授がPersonableで、インフレについて語った。
財政問題によりデフォルトを迎えるなら、内外の投資家に痛みが走るという。
一方、貨幣増発で債務を支える場合、結果はインフレになるという。
教授は、人々がインフレ上昇に対して慣れ、順応することができると指摘し、インフレが格差を拡大させるという見方に反論している。
「人的資本は金融資本よりはるかにインフレに適応できる。…
高インフレの時代、金融資産を保有する裕福な人たちは、所得の多くが金融資産によるものの場合、所得がインフレに連動する人たちよりはるかに強い痛みを受ける。」
持たざる者だからといって、悲観する必要はないようだ。
ダモダラン教授は、投資が長期のゲームであり、その点で投資期間の長い若い世代ほど有利だと話す。
教授は、投資の基本を説いている。
「マクロでなくミクロをもっと見ること、金持ちになることでなく富を保蔵・成長させることに集中すれば、長期的成功の確率が大きくなる。」
ここで「ミクロ」と言っているのは、必ずしも個別銘柄のことではなさそうだ。
教授は「どうやって市場に参加し、どうやって長期間にわたり投資を積み上げていくか」を考えるよう促している。
そして、ミクロというよりはマクロな投資商品を勧めている。
90%の人は企業を評価して個別企業に投資するのでなく、パッシブなインデックス・ファンドやETFに投資すべきだ。
1つの理由は、投資がおそらく継続的に勝つのが最も困難なゲームだからだ。
本当に優れた10%に入るのでなければ、継続して勝つのは難しい。
ダモダラン教授は、優れたパフォーマンスを上げている人たち、自身の運用成績を吹聴している人たちのほとんどが、単に運が良かったに過ぎないと指摘する。
教授は「買った時こそ謙虚になるべき」と話している。
AIなど新たな分野での投資に挑むならなおさらだ。
(市場は)試合の前に勝者を当てようとすべきところではない。
多くの人がそうやって負けている。…
幅広く網を投げろ。
それがパッシブ投資の優位性だ。
世界が混乱するにつれ、アクティブ投資の成果が小さくなり、毎年パッシブ投資の分の方がよくなっている。
ダモダラン教授は、アクティブ投資だけでなくクォンツ投資についても現状を語っている。
ジム・シモンズのルネサンス・テクノロジーズが大きな成功を収めたことを認めつつ、クォンツの黄金時代は40年前だったと指摘。
データや解析手法が広く普及した今では「もはや差別化要因はない」と話した。
ダモダラン教授は、市場の歴史の中で現在がどのような時期になるか尋ねられ、やや不吉な回答をしている。
株式投資家なら、株式が良好なパフォーマンスを上げてきた2008年以降の時期を喜ぶべきだ。…
株式市場の歴史から、お掃除、調整が来るのはわかっている。
市場の観点から言えば、今の時期はみんな大儲けして、それとともに悪い習性を身につけてしまった。
儲けるのが簡単だったため、儲けるために必要な仕事をしなくなった。
このツケを払うことになる。
ダモダラン教授は、いつか米市場が下落することを確信している。
しかし、自身が行ったバックテストから、マーケット・タイミングは成功しないと話す。
米市場においてはバイ&ホールド(買って継続保有)が下落局面を勘案しても最善の戦略だったという。
「市場の外で待つことのコストはしばしば市場の調整を避けるコストを大幅に上回ってしまう。」
