オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、楽観バイアスを持ち続ける市場についてコメントしている。
「1つ、2つの良くないニュースがあっても、市場はいともたやすくそれを却下し、思考から除外する。
その一因は、全体のトレンドがまだ良いからだが、他の一因は『認知的不協和』と呼ばれるものだ。」
マークス氏がウォートン校での3月25日のインタビューで、市場の楽観について語った。
「認知的不協和」とは、人間が自身の認知とは別の矛盾する認知を抱えた状態、またそのときに覚える不快感のこと。
マークス氏によれば、脳には認知的不協和を解消するために、自身の選好と反する情報を却下する働きがあるのだという。
このため、市場では良いニュースが織り込まれ、悪いニュースは無視される傾向にあるという。
さらに、楽観の織り込みが(理由の有無にかかわらず)限界に達することがあるとも話している。
同氏は、自身のことを楽観的と評している。
投資家であるためには楽観的でなければならない。
投資とは、お金を誰かに渡し、後に返ってくると望むことだ。
そう思うには、楽観がなければ成り立たない。
マークス氏を知る人は、市場全体との比較において、マークス氏を「楽観的」な人とは思わないかもしれない。
確かに同氏は市場が恐怖に縮こまっている最悪の時期に買って買って買いまくろうとするタイプの投資家だ。
しかし、もちろんその前提には相応の分析と判断がある。
マークス氏は、チャールズ・エリスが『敗者のゲーム』で提示した、
勝ち馬を探すか、負け馬を避けるか
の選択において、後者を選択したのだという。
「臆病な性格」のディストレスト投資家として、失敗を回避することを選んだのだ。
そして、その分野で大成功を収めたわけだ。
ところが、マークス氏はもう少し広い投資分野(株式市場)に関しては次のようにも語っている。
私の愚かな言葉の1つに、半分売っておけば、すべてが間違いに終わることはない、というのがある。
こうすると、どうしても売りに傾きがちになる。
もしも私がもっと楽観的だったら、もっとたくさん儲かっただろう。
マークス氏は以前のMemoを引用しつつ、投資家が保有資産を売る理由についても触れている。
主な理由は《上がったから》と《下がったから》だとし、いずれも合理的でないと論じている。
