米財務省、FRBなどでエコノミストを歴任した、ジル・セティナ米テキサスA&M大教授が、個人投資家のインフレ・ヘッジについて2つの商品を提案している。
「1995年の議会証言でアラン・グリーンスパンFRB議長(当時)は、CPIが過大評価されていると話した。
これがボスキン委員会につながり…最終的に米CPI算出法が変更され、CPI(上昇率)が年1.1%下方に引き下げられる継続的な要因となった。」
セティナ教授がWSJポッドキャストで、CPI算出にかかわる過去と現在のトピックを話している。
教授が昔話を持ち出したのは、ケビン・ウォーシュFRB議長が7月の議会証言でタスクフォースでのCPI算出法見直しの可能性に言及したためだ。
教授が言及したボスキン委員会とは、1995年に設置された、スタンフォード大学マイケル・ボスキン教授が委員長を務めたCPIの妥当性についての委員会。
同委員会は、当時のCPI計算が代替バイアス、新商品/品質バイアス、新販売チャネルの要因を勘案しておらず、これが当時にして年1.1%分インフレ率を過大評価していると結論した。
ボスキン委員会の指摘内容については相応の合理性もある。
一方で、セティナ教授は、CPI算出法変更の歴史を紹介する。
私の人生を通して(CPIを)上昇修正するようなCPI算出法変更は一度もなかった。
下方修正になる算出法変更の証拠しか見つからなかった。
陰謀論のように聞こえるかもしれないが、歴史上の先例がある。
歴代の政権やその影響を受ける中央銀行には金融緩和のバイアスが働きがちだった。
そのためCPI上昇率を低く見せるような変更が考えられたのだ。
先月のFOMCでのウォーシュ議長については期待外れの声も多く聞かれる。
実際、その直後に米超長期金利が上昇した。
議長が予想よりハト派的だったとの反応だろう。
セティナ教授は、長期ゾーンの金利が名目・実質ともに上昇した理由について4つの仮説を述べている。
そのうちの3つは
- (ウォーシュ議長も言及した)成長率の上昇
- インフレ等の不確実性に対し市場が要求するターム・プレミアム拡大
- その他、投資と貯蓄の需給変化等による自然利子率r*の上昇
セティナ教授は4つ目の理由として、物価連想債(TIPS)との関係で興味ぶかい仮説を述べている。
物価連動債とは想定元本がCPIに連動し、金利が想定元本に対し計算される米国債。
期限償還の場合、インフレならCPIに連動し、デフレなら元本保証となる。
金利がインフレに連動して変化し、インフレならば償還額もインフレ分増えるため、インフレ・ヘッジの効果がある。
「CPI下方修正のリスクを予想し価格に織り込みたいなら、1つの方法は高い実質利回りを要求するということになる。」
セティナ教授が言いたいのは、CPI算出方法変更でCPIが低くなるリスクを感じれば、投資家はより高い実質利回りを要求するようになるだろう、ということだ。
(実際、ブリッジウォーター・アソシエイツは昨年、政府がCPIを操作するのではないかとの懸念を述べていた。)
(次ページ: セティナ教授の物価連動債タクティクス)
