ハワード・マークス氏は、近年続く拡張的な財政政策について「経済の法則」から逸脱していると示唆する。
「今日の莫大な赤字国債発行は、私たち自身が作った財政赤字への対応として行われているものだ。
そして、それが好況の時期に行われ、それが総需要とインフレ圧力を増大させうる。」
本来なら安定化政策として景気後退期に行われるはずの財政政策が、全体として景気が良好でインフレが社会問題になっている時期にまで続いている。
今回のMemoのタイトルは「経済の法則を撤廃すべきか」である。
マークス氏は、不人気を承知の上で、今なすべきことを列挙している:
- 「借金を一部返済する」、「借金を完済する」といった言葉は忘れる
- 現在の政府債務が減ることはありそうにない現実を受け入れる
- 財政への責任を果たす – 予算とその影響を注意し始める
- カーブをフラットに(…)
- 所得税率引き上げ(…)と税優遇の廃止により歳入対GDP比率を上昇
- 資源は有限との考えによる財政規律を適用し歳出の増加率をGDP成長率より低く抑制
要は、財政の置かれた厳しい現実を理解し受け入れ、財政規律を取り戻せという、正統的でコテコテの財政再建策である。
マークス氏は最後にもう1つとても重要なルールを付け加えている。
しかし、最後の要素が重要だ:
税収増が費消(spent)されないようにしなければいけない。
少々厳しすぎる話のように感じたので、いくつか機械翻訳を試してみたところ、それらは「spent」を「費消」でなく「浪費」と訳した。
財政への信認を保つには、なによりも無駄遣いがないことが重要だ。
世の中には、本当に有意義に使われるならまだ多少の増税も受け入れるという人は少なくないはずだ。
しかし、ひいき目に見ても無駄・不公平と感じられる政策がまかり通っているのが現実なのだろう。
ECBやFRBがインフレ退治に真剣な意向を示し、日銀も少し本腰を入れ始めた。
しかし、供給側の要因も大きいインフレに対し中央銀行のやれることは小さく、副作用もある。
もちろん供給側の要因が地政学的なものであれば、すぐさま財政で対応できるものでもないが、それでも財政政策はそれ自体がインフレの一因となっている。
インフレ/金利の上昇に財政も対処すべきとの議論は、そうした理解の下で広がりつつあるのだろう。
