世界的な長期ゾーンでの金利上昇が懸念される中、ケン・フィッシャー氏は、政府・中央銀行が自国の長期金利を抑制するのは極めて難しく、実施されないとの見通しを述べている。
「ベッセント(米財務長官)は操り人形だ。
実在する人間ではない。…
でも、私の間違いかもね。」
フィッシャー氏がGlobal Money Talkのインタビューで、普段よりいっそう辛辣な毒舌を披露している。
ベッセント長官への毒舌は、米当局が長期金利抑制に動くのではないかとの質問の中で語られたものだ。
長期金利は、世界的な競争の下で決まる。
米国等の主要経済が市場において世界中の主要経済の長期金利の方向性と異なる方向に長期金利を動かすのは極めて困難だ。
フィッシャー氏は、実際に過去も最近も、米長期金利が世界の長期金利と歩調を合わせて推移してきたと説明する。
米国が量的緩和を実施していた時期でも、結局は世界の長期金利の動きから逸脱することはなかったと解説した。
フィッシャー氏は、かつてジョージ・ソロス氏の下で活躍したベッセント長官に対する市場の期待感・警戒心についても行き過ぎと述べている。
「ある人は
『ええ、でもベッセントはBOEをやっつけた作戦にかかわっていたじゃないか。
本当に不可能なのか?』
と言う。
私は、それこそが原則を証明する例外のようなもので、(長期金利の操作は)不可能だと思う。」
1992年のポンド危機では、ソロス氏のヘッジファンド、それに同調した世界中の市場参加者がポンドの売り崩しを仕掛け、結果BOEを打ち負かした。
当時のソロス・ファンド・マネジメントのロンドン責任者を務めたのがベッセント長官。
その長官が今は自国の国債や通貨を防衛する側に回っているのは皮肉な構図だ。
ポンド売り崩しが成功したのは、単にタクティクスによるものではなく、ファンダメンタルズの必然があったからこそだろう。
ベッセント長官はタクティクスを知り尽くした人物だが、ファンダメンタルズを一朝一夕に変えるような行動は見られないし、それは至難の業だろう。
フィッシャー氏が「操り人形」とこき下ろす理由もこのあたりにあるのかもしれない。
フィッシャー氏の主張は、主要経済の長期金利が整合的に動くということのように聞こえる。
裏を返せば、主要国が協調すれば、各国の長期金利を整合的に抑制できる可能性までは否定していないのかもしれない。
(もちろん、それにはファンダメンタルズを変えるような協調が必要になろう。)
また、同氏は、権力者らが暴走する可能性については否定しない。
しかし、それには予期せぬ代償がともなうとし、実行される前にブレーキがかかるとの考えだ。
「米国の大統領、財務長官、政権、他の国はできると考えているかもしれない。
ああ、彼らは世界中の愚か者どもだ。
現実は、愚かなことをやることはできるが、それには予期せぬ結果が待っているということ。…
米国政府が、世界のシステムに波及効果を及ぼしブーメランが返って来ることなしに、長期金利をいずれかに操作しようとするのは極めて難しい。
私はそういうことは起こらないと考えている。」
フィッシャー氏は酷評するが、ベッセント長官はそれを十分理解するからこそ最近の円相場や円長期金利上昇について注文を付けているのだろう。
「愚かなこと」を心配すべき相手は、もしかしたら米国ではないのかもしれない。
本インタビューでは他に
中央銀行
IPOブーム
イラン紛争と原油の影響
中間選挙のアノマリー
などの話題についても語られている。
