アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授がカントリー・リスクについて解説しているが、そこには今後実務上無視できなくなるかもしれない重大ポイントが暗示されている。
「1980年代・1990年代に多かった債務不履行は今世紀に入り減っている。
内容も(通常、銀行が貸し手の)ローンのデフォルトから債券市場のデフォルトへとシフトした。
また、毎年発生する国債でデフォルトの小さからぬ部分が自国通貨建て債務であることも注目に値する。
これは、一部の借り手(政府)にとって、債務返済のための貨幣増発によるインフレのコストよりデフォルトのコストの方が小さいと考えられていることを示唆する。」
ダモダラン教授が自身のブログで、価値評価におけるカントリー・リスクについて俯瞰している。
包括的な解説になっており、実務家にとっても有用な内容だ。
ここでは、自国通貨建て政府債務うんぬんの話は主眼ではない。
DCFによる価値評価において用いる割引率にどのようにカントリー・リスクを反映させるべきかの部分に焦点を当てたい。
多くの実務家は、株価のDCFを行う際に、その企業の本拠地の国の通貨のリスクフリー金利や株式リスク・プレミアム(これらにカントリー・リスクが反映されている)から求められる割引率を用いる。
これは、実務においては一般的に行われているものの、理論的には誤りだ。
ダモダラン教授は、適用すべきカントリー・リスクについて
- 「リスクの源泉がどこかによる」
- 「通貨はカントリー・リスクを決定するものではなく・・・それのみでリスク・プレミアムは決まらない」
と書いている。
つまり、リスクの源泉、おそらくはキャッシュフローの発生場所に応じてカントリー・リスクを考慮すべきということだろう。
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