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【休憩】現預金を持つことのリスク?
2023年7月4日

問題は、個人の証券口座だった。
利用している証券会社の1つでは、余資を預け金でなく銀行口座にプールするルールになっている。
(ルールなのか、私が選択したのかわからないが、とにかく証券会社はそれを推奨してきたのだと思う。)
この預金について、預金保険の対象と書かれていた。


対象だから安心できるわけではない。
これが意味するのは、何かあった時の預金保険には上限額10百万円が適用されるということ。
(もちろん、あるなら清算配当は受け取れる。)
証券取引の待機資金としては、この金額は小さいように感じた。
仮に預け金ならば分別保管されることで一定の安心感が得られる。
しかし、銀行預金だと、銀行のリスクをかぶることになる。

繰り返すが、現時点で起こりそうにないリスクだ。
でも、日銀が金融政策変更を始めると、ごたごたするかもしれない。
完全に無視していいテーマではなかろう。

まだ具体的な手当てをできているわけではないが、方針は決まっている。
似たような前例があったためだ。
筆者は大昔に米国に赴任していた時期があり、現地に証券口座が残っていた。
貧乏だからたいした金額は入っていなかったのだが、まぐれ当たりがあり口座残高が少し大きくなっていた。
この証券口座でも余資が系列銀行の預金にプールされる仕組みだったのだ。

この口座については、リスク管理という観点でなく対処していた。
米国でインフレが高まった時、銀行預金ではどんどん実質ベースで減価してしまうとの危機感が増したのだ。
そこで、預け金をゼロにするよう、短期債ETFを売買するようにした。
いわば手動スウィープだ。
売買頻度がとても低いので、これで十分だった。
(頻度の高い人はアルゴリズム等を検討されてもいいかもしれない。)
かくして、この口座について多額の銀行預金を抱えるリスクは去った。

国内口座についても似たようなことをすればよかろう。
「Buy low, sell high.」の投資家なら、今は売りのタイミングだ。
長期投資家なら、売りは比較的負担の小さい営み。
のんびりできるうちに脇を締めておくのもいいのではないか。

(7/13追記)
筆者の取引証券会社のスイープ・サービスではスイープ金額の上限が設定できるとのこと、お教えいただいた。
これにより預金保険の点はクリアできる。
一方、インフレ対策の必要は残る。

(余談だが、仮に証券会社が分別保管を怠り投資家に損失が発生した場合、日本投資者保護基金より1人当たり上限10百万円まで補償される。)




山田泰史山田 泰史 横浜銀行、クレディスイスファーストボストン、みずほ証券、投資ファンド、電機メーカーを経て浜町SCI調査部所属。東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修了 理学修士、ミシガン大学修士課程修了 MBA、公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。

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