ジェレミー・シーゲル教授が、トランプ政権による長期ゾーン金利抑制を批判する一方、インフレ懸念が残る中でもFRBが9月に利上げするのは難しいだろうと予想している。
ベッセント財務長官によるツイスト(オペ)は良い考えではない。…
(債券の)期間構造の傾きを制御しようとすると、最悪の場合失敗し、失敗により信認を失ってしまう。
皮肉なことに、ウォーシュFRB議長はフォワード・ガイダンスをやめて市場シグナルを妨害しないようにしているのに、ベッセント長官が介入し、長短国債の供給を相対的に変えることで市場シグナルを妨害しようとしている。
彼らは話し合っているのか?…
以前は財務省とFRBは毎週会合を持っていたが、今では互いに相反することをやっている。
シーゲル教授がウィズダムツリーのポッドキャストで、米財務省による長期ゾーン金利への介入を批判した。
シーゲル教授は、7月のFOMC後のウォーシュ議長による記者会見について批判的な意見を述べていた。
ただし、多くの市場関係者がそうであったように、議長がフォワード・ガイダンスをやめようとしていることへの批判ではない。
議長が反応関数(どの指標に注目し、それに対してどのような政策を選択するかの考え方)を説明しないことへの不満だった。
教授は、フォワード・ガイダンス取りやめについては、むしろ理解を示していた。
危機対応のための政策手段を取りやめ、FRBが市場シグナルを活用しようとし始めたまさに今、今度は政権が市場をコントロールしようとし始めている。
米財務省とFRBの擦り合わせがなされていないことへの批判は、さもありなん、だろう。
トランプ政権はこれまで数々の姑息な手段を弄してFRBに金融緩和のプレッシャーをかけてきた。
FRBが毅然として中立を保とうとしたことで、政権自らツイスト・オペに踏み出さざるをえなくなったとも言える。
ある意味、財務省とFRBの不仲は金融政策にとって良いことなのかもしれない。
それはFRBが政権のプレッシャーに負けず独立した政策を続けている証かもしれないからだ。
(とは言え、全くの配慮をしなくてもいいほどの独立性はないだろうが…)
シーゲル教授は、債券市場のあり方に立ち返って市場機能の大切さを説いている。
金利とは財政赤字、インフレ期待、先行きのFRB政策、実質成長に関係しており、多くのリスク・プレミアムや要因が入っている。
最善は、それを弄ばないこと。
そうすれば、市場が自ずと解決するだろう。
シーゲル教授は、現在の1%程度の長短スプレッドは歴史的平均と同水準であると指摘した。
一方でシーゲル教授は、11月に中間選挙を控える中、FRBが選挙前に利上げするのは「政治的に極めて難しい」と話した。
ただし、25bp利上げの時期が9月だろうと12月だろうと大した差ではないという。
また、来週のジャクソンホール会議において仮にウォーシュ議長の発言が再び期待外れに終わる場合も、9月のFOMCで挽回可能と話している。
改めて思い知らされるが、シーゲル教授にしても、もはや次のFRB政策変更は完全に利下げでなく利上げになっている。
利上げの理由となるはずの物価動向について、教授の発言を2つ紹介しよう。
まずは地政学的な要因:
選挙直前になれば、選挙に影響を与えようとイランがホルムズ海峡を通行する船舶を標的にした攻撃を増やすだろう。
次にマネーサプライやコモディティの要因:
先週マネーサプライのデータに改善の兆しがあると少し期待したが、先週の銀行預金増加率で白紙に戻った。
改善しているかどうかはわからない。
また、変動の大きなコモディティ価格では、トランプが宣言した(イランへの)経済制裁により原油が上昇した。
Bloombergコモディティ指数は急騰し、史上最高値から3%未満のところにある。
