ジェレミー・シーゲル教授は米経済・市場に対する強気スタンスを継続する一方で、すべては原油価格によるとの警戒姿勢も示している。
シーゲル教授がウィズダムツリーのポッドキャストで、7月29日のケビン・ウォーシュFRB議長によるFOMC後の記者会見についてコメントした。
「記者会見はとてもよくなかった。
単に説明できるはずの自分の考えを説明しなかった。」
28-29日のFOMCでは金融政策の据え置きが決定された。
3人が利上げを主張して反対票を投じている。
一方、FOMC直前にはトランプ大統領が強く利下げを求めていた。
シーゲル教授は、FOMCが利上げを見送った点について、原油価格、生産性上昇、インフレ期待など、いくつも理由があったと解説する。
それなのにウォーシュ議長はそれを明示しなかったと首を捻っている。
FRBが金融引き締めをしなくても市場が長期金利上昇を通して引き締め効果を及ぼしているので十分なのではないか、との問いに対し、シーゲル教授は不十分と答えている。
「長期金利については、2年10年スプレッドを見ると、通常のイールドカーブよりスティープになっている。
長期金利だけではすべては解決できない。
これが示唆するのは、ウォーシュ議長が短期金利を低く抑えすぎているために、マネーサプライが増えているということだ。」
米2年10年スプレッド(青、左)、実効FF金利(緑、左)、マネーサプライM2(赤、右)

パンデミック後の米2年10年スプレッド(青)つまりこの間のイールドカーブの傾きを回顧すると、2020-22年が比較的高く、その後長短逆転し、2024年半ばから再びプラス圏に戻っている。
(騒ぐほどには2年10年スプレッドが拡大しているようには見えない。)
この動きをもたらしたのは、定義からして、長期金利と2年金利であり、2年金利はFF金利の影響を強く受ける。
パンデミック直後、FRBは利上げで後手に回り、インフレ急騰を招いた。
それはM2の急増が示すとおりだ。
その後、FRBが急激に利上げを実施すると、M2の伸びは止まり、インフレが落ち着き始めた。
しかし、M2は近時再び増勢を強めつつあるように見える。
シーゲル教授は、世界がパンデミックから脱し始めた頃からインフレ昂進を警告し、FRBによる金融引き締めの必要性を主張した。
その教授が今再び金融引き締めを主張し始めた。
基本的には、わたしには短期金利が50bpほど低いように見える。
しかし、原油価格が下落するなら、現水準でよいだろう。
少し前までは利上げでなく利下げの方向を見ていたシーゲル教授が、今や利上げの方向を見出したように見える。
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