アリアンツ顧問モハメド・エラリアン氏が、米財務省によるバイバック・オペ(長期国債買い戻しオペ)について副作用を心配している。
「これはかつてのオペレーション・ツイストと呼ぶべきだろう。
長期側の米国債を買い入れ、短期側の発行を増やし、短期的に利回りに影響を与えているだけのものだ。」
エラリアン氏がCNBCで、米財務省によるバイバック・オペ倍増についてコメントした。
米財務省は19日、長期ゾーンの米国債買い戻しオペを現在の1回あたり20億ドルから40億ドルに倍増すると発表した。
これを受け、米30年債利回りは5.3%前後から5.2%前後まで低下した。
長期債を買い戻すことで、米連邦政府の資金調達における短期依存がさらに強まることになる。
オペレーション・ツイストとは、政府・中銀が長期国債と短期国債を逆方向に売買すること。
2011年FRBは、長期国債を買入れ短期国債を売るオペレーションを実施した。
この時は、インフレを誘発しうる資金供給量増加を避けつつ長期金利低下により金融緩和を強化する意図だった。
エラリアン氏は、先月末からの日米協調介入が米政府の長期金利上昇への懸念の「小さなサイン」だったと指摘。
30年債利回り5.3%が引き金となり、今回は「大きなサイン」になったと話した。
米政府が長期金利抑制のため市場に介入した背景として、中間選挙を控えて住宅ローン金利上昇を嫌がったのだろうとエラリアン氏は指摘した。
「いかなる形のイールドカーブ・コントロールも…副作用や意図せぬ結果がともなう。
短期的には恩恵があっても、進行中のファンダメンタルズ上の綱引きにとっての長期的解決策にはならない。」
エラリアン氏は現状の長期金利上昇の一因として、AI関連の旺盛な資金需要を挙げる。
政府だけでなく民間も巨額の資金を必要としており、借主の間で「綱引き」が行われているのだ。
同氏によれば、長期金利を抑制するために米政府が短期債発行を増やせば、短期資金を欲する経済主体にしわ寄せがよるという。
エラリアン氏は、米経済は堅調としながら、懸念事項も2つ挙げている。
- 金融面の「事故」: 目に見えないところに潜むレバレッジのリスクが表面化しうる
- 低所得世帯: 強いプレッシャーがかかっている
実勢より長期金利を抑制すれば、どこかで高まっているレバレッジを温存することになるかもしれない。
また、長期金利抑制が資産価格にプラスに働くなら、それは格差を拡大させる効果があるのだろう。
日本は近年において長期金利をペッグした実績(2016-24年のイールドカーブ・コントロール)を有する。
しかし、日本が行った長期金利ペッグは(少なくとも導入時は)長期金利を抑制するのでなく逆に押し上げることを目標としていた点に注意すべきだ。
ある意味、長期金利が低く、その後も低く維持された背景には、日本経済の弱さがあったのだ。
パンデミック以降のインフレ期については、長期金利ペッグは円安やインフレを助長する一因になった可能性がある。
仮に金利抑制が長く継続するなら、昨日のドル指数下落に表れているとおり、通貨安の要因になるのだろう。
