エド・ヤルデニ氏は「債券自警団」が先進国の金利を上昇させていると指摘しつつ、米国については楽観的な見通しを語っている。
日本では明らかに債券自警団が活動を活発化している。
日本の債券利回りは劇的に上昇した。
同じことが英国でも起こっており、両国ともに対GDP比で大きな債務を抱えている。
それは米国も同じだ。
「債券自警団」という言葉の生みの親エド・ヤルデニ氏がCNBCで、債券市場が先進各国の財政に警鐘を鳴らしていると指摘した。
同氏は米国についても心配していると言うが、決して悲観一辺倒ではない。
米10年債利回りが4-5%まで上昇してきたことについて「正常」、「リーマン危機前のレンジ」と解説し、これ以上債券利回りが上昇すれば2023年と同様買い手が現れるだろうと予想した。
ヤルデニ氏は、米経済が中央銀行による統制が必要とされた状況から正常化しつつあると考えている。
債券市場はついになすべき機能を発揮しているのだと思う。
債券市場は資本を効率的に配分している。…
つまり、これは市場主導の金利への回帰だ。
もちろんこれは、今はFRBが統制した時代より債券自警団が自由に意見を表明するようになったことを意味する。
ヤルデニ氏は、債券自警団の声を代弁する。
債券市場は政府債務、FRBの不十分なインフレ退治、原油価格を心配し、長期金利を押し上げているのだという。
一方で、同氏が金利上昇を心配しない理由の本質についても言及した。
結局のところ、もしも経済が良くないなら債券市場はここまで上昇しないだろうから、私はこれが経済の強さへの自信を示すものだと見ている。
ヤルデニ氏は「債券自警団」に限らず、多くの言葉を生み出してきた。
米市場を「狂騒の2020年代」と呼び、最近の市場はFOMO(取り残される恐怖)ではなく「FEMO」(Fabulous Earnings Momentum、素晴らしい利益モメンタム)にあると主張している。
狂騒の1920年代は終了後に世界恐慌へと転じたが、今回は状況が異なるという。
100年前と同じように米国は関税を発動したが、前世紀とは異なり他国からの報復はなく、裁判所の審判に基づき関税が払い戻されていると話した。
ヤルデニ氏は、米経済の強さの一因を自分と同じベビーブーマーの消費行動にあると分析する。
就業を終えたこの世代にとっては金利上昇にデメリットはなく、インカムゲイン向上により消費を増やしているのだという。
同氏は年末のS&P 500について8,400(EPS 415、PER 20.2倍)を予想している。
1983年『債券自警団』という言葉を提唱した時に私は、保安官、つまり財政・金融当局が法と秩序を守らないなら『債券自警団』が自警を実行するだろうと書いた。
当時は2,500億ドルの債務について懸念されていると書いた。
今では1.2-2.0兆ドルだ。
米国は、債券自警団が反抗を始める限界を試しているようなものだ。
強い米経済・市場で金利が上昇するのは自然なことだ。
財政を吹かすことが通貨高要因になるとの見方が多い。
しかし、米国の財政赤字は対GDP比で6-7%の高水準だ(日本は2%前後)。
単年度では米国の方が悪く、結果、政府純債務でも先進国トップの日本を急追している。
債券自警団が自警を強め、米金利が上昇し、米財政が窮屈になれば、潮目が変わり、ドル高の巻き戻しが起こる可能性もある。
これはヤルデニ氏の楽観論とは少し異なるシナリオだろう。
仮にこちらに転ぶなら、投資家が心配すべきは円安ドル高でなく円安ドル安になるのかもしれない。
