バブルの研究家、バリュー投資家として有名なジェレミー・グランサム氏が、従前と同様、米市場を避けるよう奨めている。
「インデックス投資は常に(アクティブ運用の)投資家を平均で上回る。
以上。
(アクティブ投資家に)チャンスはない。
これは単なる数式なんだ。」
グランサム氏がLibrary of Mistakesで、パッシブ運用についての質問に答えて語った。
この対談はとても独特で興味深いものになっている。
一般向けのメディアでは、どうしても内容が定性的で自然言語的なものにならざるをえない。
一方で、グランサム氏が長年バリュー投資で有意にアルファを上げてきた手法は定性的なものではなく、クォンツ(数理的、定量的な手法)なのだ。
結果、一般向けメディアでの同氏の発言は結論のみを紹介するような形になることが多い。
この対談では、グランサム氏がクォンツ投資家として積み上げてきたタスクについても語られており、同氏の真骨頂を感じることができる。
グランサム氏はバリュー投資でアルファを上げてきた。
その人がアクティブ投資に「チャンスはない」というところに面白さがある。
もちろん敗因は取引コストにある。
アクティブ運用は「紙切れをシャッフルしているだけ」とし、取引コストがかさむ分インデックス運用に勝てないという。
もっとも、グランサム氏はアルファを上げてきたのだから、これは「平均」における話なのだが。
質問では、市場において過半がパッシブ運用になったことの問題点についても尋ねていた。
多くの市場参加者が、市場機能の低下につながるのではと心配してきた点だ。
ところが、いつもは悲観的な話が多いグランサム氏が、かなり楽観的な見通しを語りだした。
「90%を超えるようなとても高い割合になれば、誰か価格が公正価値から大きく外れないようにしてくれる人が必要になる。・・・
でも50%なら忘れていい。
貪欲で熾烈な競争と多くのPhDによって、明らかに市場機能は必要以上に維持されている。
ファクターについては、完璧に健全である指標がいくつかある。」
楽観的に聞こえる回答だが、実は問題はもっと大きなところにあるようだ。
グランサム氏が心配していないのは、ファクター(あるいはセクターや銘柄)ごとのミスプライシング・格差であるようだ。
本当に心配しているのは米市場全体のミスプライシングなのだ。
本当に重要なファクターは、株式vs現金だ。
現在、私が考え得るすべてのレベルで信じられないほど危険な環境にあり、あなたが市場をさほど割高だと考えないなら、あなたは麻薬中毒だ。
現在の市場は1929年や2000年と同じくらい非効率になっている。
グランサム氏は過去数年、米国以外の市場に投資するよう奨めてきた。
そして昨年、為替換算後で外国株が米国株を大きくアウトパフォームした。
同氏は、この現象が大きなサイクルの一部だと話す。
「S&P 500が崩壊する時、世界市場の多くもしばらく一緒に道連れにするだろうが、それらははるかに速く回復するだろう。
商売、顧客がない限り、心配はしていない。」
すでに投資家からの運用受託から退き、自身の資産の運用をしているグランサム氏は、大きな下落に際し顧客を心配する立場ではない。
自分のお金はどうかと言えば、外国株のドローダウンは許容可能なのだろう。
