映画『マネー・ショート』の登場人物として有名な投資家スティーブ・アイスマン氏が、世間の期待とは逆に、比較的楽観的な見通しを語っている。
経済・市場で拡大しつつあるレバレッジについて心配しているかIn the Moneyのインタビューで尋ねられ、アイスマン氏が答えた。
「大きな懸念事項だとは思うが、AIストーリーが成功すれば大丈夫だろう。…
私にはどの程度の確率か予想できず、ただ見守るだけだ。」
アイスマン氏の大口投資先の1つはNVIDIA。
同氏は笑いながら「他の人と同じように注視し、心配している」と話した。
心配する理由は、AI関連産業のサプライチェーン全体がAnthropicやOpenAIなどの最先端AIモデル開発企業に依存しているためだ。
アイスマン氏は、AIモデル開発には競合を防ぐ「堀」がないとし、熾烈な価格競争が始まりつつあると指摘している。
アイスマン氏が最も心配する「レバレッジ」は民間セクターでのレバレッジのようだ。
一方、米政府債務問題については「他の人と比べてはるかに心配していない」と話し、米財政破綻が心配されて40年経つのに問題が顕在化していない点を強調した。
「彼らが40年間外し続けてきた理由は、米ドルが単なる準備通貨でなく全世界の配管の役割を担っている点にある。
金融システムにおいて米国債に代わるものが現れない限り、私はそういう心配はしない。…
みんな次の世界の終わりを予言した者になりたくて、災難をでっちあげたがるんだ。」
民間と政府でのレバレッジの危険性についての1つの典型的な捉え方だろう。
これまで何度もFPで書いてきたが、民間でのレバレッジ拡大は債務危機になりうるが、自国通貨建てで債務発行する政府においては債務危機ではなく通貨危機になるのが通例だ。
借金漬けの民間主体はデフォルトしうるが、自国通貨建て債務を発行する国であれば自ら望まない限りデフォルトにはならない。
つまり、米国において心配すべきは通貨危機、あるいは《危機》とまで行かないまでも、高インフレやドル安ということになる。
自国通貨建て債務を発行する国(先進国)のCDSは(広義の)財政懸念に対してほとんど反応しない。
自国通貨建てで債務を発行し中央銀行が買い入れれば、デフォルトを逃れられるためだ。
CDSは広い財政悪化ではなく、デフォルトに対する保険である。
一方、フランスのように共通通貨を用いる場合、貨幣増発(債務発行+中銀による債務買入れ)ができないため、CDSは上昇する。
こういう場合《債務危機に発展しうる》と心配されるようになる。
