ジェフリー・ガンドラック氏がインフレ・ドル安を警戒する主な理由は米財政問題だ。
特に従前から、年金など社会保障制度の持続性を強く危ぶんできた。
「フランクリン・ルーズベルトが社会保障制度を提起し法案通過させた時、彼自身が『これはうまくいかない』と言った。…
彼はこれが一種のポンジ・スキームであることを理解していた。」
社会保障の仕組みが労働人口の増大を前提にせざるをえない制度であり、大幅な見直しは避けられないとの考えだ。
ガンドラック氏は、年金支給日に予想市場(将来の出来事に賭ける市場)が盛況になるというエピソードについても言及している。
ガンドラック氏はこのインタビューで、何度か保険会社についてコメントしている。
1つは、保険会社が投資先の格付に制限を設けている点だ。
ところが、最近ではその基準に用いられる債券格付の質について、サブプライム危機の時のような疑念が持ち上がっている。
お金を出せばいい格付が買える、とでも言いたくなるような格付が散見されるのだ。
「市場が見るリスクとは正反対となるような抜け道になっている。…
オラクルはBBB-だが、冗談じゃない。
市場ではシングルBの弱含みで取引されている。」
流通市場はもはや一部の格付を信じていないように見える。
また、ガンドラック氏は、加入者にとっての保険商品の経済性自体にも懐疑的だ。
「私は保険をあまり信じていない。
保険の期待リターンはマイナスだと感じている。
立て替え費用が出せない人は火災保険に入るべきだろうが。」
ある程度の資力のある人なら保険は不要という考えだ。
実際、ガンドラック氏は最近のカリフォルニア大火災で被災しているが、それでも保険に入って保険料を支払っていたよりは安く済んだと話している。
債券王は、実際の債券市場の動向から「信用悪化サイクル開始の兆候が明らかに見える」と警告する。
そのため、金利上昇だけでなく信用スプレッド拡大への警戒を強めている。
「そう遠くないうちに債券投資家の反乱が始まるだろう。
私はオラクルをスプレッド2.0-2.5%では買わない。
5.0%は必要だ。
そういう状況に近づいているように思う。」
ガンドラック氏は先月、オラクルが破綻すると予想していた。
こうした動きが今後信用市場で広がるとの危機感なのだろう。
ガンドラック氏は現在、推奨ポートフォリオの30%をS&P 500均等加重型指数に当てている。
以前はインフレへの懸念から株式の比率をもっと高くしていたから、これでも防御的なのだ。
「仮にSpaceXのIPO価格が1株135ドルでなく1株1.35億ドルだったとしても、インデックス・ファンドはとにかく買っただろう。
実際、はるかにはるかに多く買ったはずだ。
当然の出口を持たない、極端に高リスクを取る人たちのために出口を提供しているんだ。
パッシブ・ファンドが彼らのゴミ捨て場になっている。」
ガンドラック氏は、インデックス投資にとって危険な時代になったと言い続けている。
「みんな『インデックスを買っていればいい』というが、私は正反対だ。
均等荷重平均の米国株インデックスを持っている。」
σリスクを分散したいなら時価総額加重平均指数を選択するのが理論の教えるところ。
ガンドラック氏が予想するのは、分散できないβリスクが不利に働くような展開、つまりはAI関連銘柄主導の弱気相場なのだろう。
それは、パッシブ投資がババを引く展開である。
実はガンドラック氏は今年初めまで欧州株や日本株も持っていたが、今では米国株を均等荷重平均指数でのみ持っている。
「今では株式はさほど持っていない。
チャンスが来ると予想しており、そのために流動性を高めている。」
ガンドラック氏は次の下落を予感し、株式購入のための流動性を厚めにしているのだ。
ガンドラック氏は、若いうちから老後に備えるよう促している。
「60-62歳で2,000ドルしか貯蓄のない老人が70歳で引退したいと言ってきても、何と言っていいかわからない。…
タイムマシンが発明され、1980年代に戻って貯蓄を始めさせられるようになるのを願うしかない。
すでにチャンスを逃してしまったんだ。」
