ジェレミー・シーゲル教授が、Anthropicのデット・ファイナンス(債務による資金調達)について苦言を呈している。
「なんでAnthropicはあと300億ドル多く株式を発行しないのだろう?
時価総額のたった2%分にすぎないのに。」
シーゲル教授がCNBCで、IPOを控えるAnthropicやAI関連企業の資本政策について疑問を投げかけた。
今年に入り、ハイパースケーラーらAI関連企業の債務による資金調達が活発化した。
これが一因となり、リスクフリー金利の上昇、信用スプレッド拡大が起こったとの見方が多い。
しかし、調達コストが上昇しても、他分野との比較において同分野の資金調達意欲が削がれるとの見方は少ない。
また、同分野では格付の信頼性に疑問を投げかける声もあり、実際、投資適格債として発行された債券でも、流通市場ではジャンク債なみのスプレッドを要求される銘柄が増えている。
Anthropicも例外ではない。
大手運用会社ブラックストーンによれば、IPO後のAnthropicは投資適格級の格付を取れないだろうとのこと。
IPOでの新規発行株数を増やせば債務での調達は不要となるのに、わざわざジャンク級への転落の可能性を選んでいる。
シーゲル教授が注目するのは発行体への影響だけではない。
教授は投資家目線でのポイントも語る。
「Anthropicが期待に応えられなければ、債券保有者は打撃を受ける。
株式保有者にはダウンサイドもあるが、アップサイドの可能性もある。」
AI分野の債券の中に流通市場においてジャンク級との評価を受けるものが出ているという事実は、投資家がダウンサイドも意識した投資をすべき状況であることを示唆している。
その時に、投資家が選択すべきは株式なのか、債券なのか。
シーゲル教授の指摘は、教科書通りの教えでもある。
敷衍すれば、これはAI分野へのエクスポージャーのある日本企業にも言えることだ。
国内債券ではただでさえ信用スプレッドが甘くなりがちだ。
最近のリスクフリー金利上昇、信用スプレッド拡大で、出来上がりの社債利回りが過去よりよく見えても、それが本当にリスクに見合ったものであるとは限らない。
安易に飛びつく前にもう一度、不確実性の高い分野への投資において、株式を選択するか、債券を選択するか、よく検討することが重要だろう。
