ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が、かねてから警告し続けてきたプライベートクレジットについて今後の展開を予想している。
「エグジットできなくなるとより一層エグジットしたくなるのが人間の本性だ。」
ガンドラック氏はBloombergで、プライベートクレジット・ファンドの6月の償還が3月を超えるだろうと予想した。
同氏は先月の時点で同様の警告を発していた。
さらにガンドラック氏は、これが他の資産クラスにも波及しうるとの意見を紹介した。
前日に出席したミルケン・コンファレンスでのプライベートクレジット関係者の発言だ。
『本当のリスクはプライベートクレジットではなく公募クレジットの方にある。』
プライベートクレジットは私募市場の商品であるために流動性が低い。
だからこそ、プライベートクレジットのファンドは引き出し時期について制限のあるインターバル・ファンドとして販売される。
契約上の制限があるがゆえに法的に守られている。
インターバル・ファンドからエグジットできない投資家が何とかしてリスクを減らそうとすれば、他のより流動性の高い投資を回収することになる。
これが株式、ハイイールド、銀行ローン、社債などに悪影響を及ぼすと心配をする人がいるのだ。
一方で、流動性の高い資産の市場は現在絶好調であり、何ら悪影響を受けていないように見える。
ガンドラック氏は以前、現在のプライベートクレジット市場を2007年のサブプライム危機に喩えたことがあるが、今回の歪みの解消には時間がかかると予想している。
住宅ローン債権と異なり、プライベートクレジット債権を格付する仕組みが行きわたっていないためだ。
同氏は、歪みがしばらく続く可能性があるとし、その場合はほころびを示す「証拠」が出て来るだろうという。
プライベートクレジットについて日々の評価を公表しようという動きについて、ガンドラック氏は揶揄する。
「とても混乱させる話だ。
彼らは当初、マークツーマーケット(評価替え)しないことを利点と言っていたからだ。・・・
もしも公募債のポートフォリオの移動平均で(プライベートクレジットを)マークツーマーケットすれば、おそらく3倍のシャープ・レシオになるだろう。」
プライベートクレジットに限らず、多くのオルタナティブ商品において、価格の安定性(低いシャープ・レシオ)をセールスポイントとして用いるセールスパーソンが多い。
その本質とは、価格が安定しているのでなく、きちんと評価替えをしていないにすぎない。
こうした危うい資産クラスにもかかわらず、一部には官民挙げて個人投資家にプライベートクレジット保有を促すような動きがある。
個人へのはめ込みとも見えるこうした動きには、早い時期から懸念を示す声も多かった。
ガンドラック氏は《ローンを出すために新たな投資家が必要》というロジックを「社会保障制度のよう」とコメントした。
買いだと考える人もいるだろうが、私は奨めない。・・・
最初に下げると、過去の価格と比べて安く見えるようになり、勇敢な投資家が賭けに出て買い、少し上がる。
それこそサブプライムで起こったことだ。
ガンドラック氏はプライベートクレジットについて、サブプライム/リーマン危機時ほどの救済は行われないと予想する。
住宅ローン危機では一般の市民を保護する必要があったが、プライベートクレジットでは救うべき当事者が見当たらないためだ。
