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株価は実質ゼロでもクレジットは増価の不思議:ジェフリー・ガンドラック

ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が、とあるプライベートクレジット・ファンドによるレッドロブスター向け投資について疑問符を呈している。


「劣後のスポンサーがレッドロブスターへの株式ポジションを一夜のうちに98%も評価を引き下げた。
奇妙なことに、その株式ポジションは『プライベートクレジット』ファンドにより保有されていた。
気味の悪いことだが、そのファンドのレッドロブスターへの大きな保有はパーで評価されている。
株式は一夜にしてほぼ失われたにもかかわらずだ。

逃げろ!!!」

ガンドラック氏が14日ツイートした。

確かに突っ込みどころ満載の出来事だろう。
そもそもプライベートクレジット・ファンドが株式を保有していたという点。
さらに、株式について備忘価格まで評価替えしていても、クレジットについてはパー評価のままという点。
レッドロブスターの企業価値の減価がちょうど株式のところで止まるなどという偶然があったのだろうか。
もしもクレジットに対する評価に甘さがあるなら、ファンドの価値自体に疑問が呈せられかねない。

ガンドラック氏は続けてツイートしている。

「驚くことに、そして大いに意味深長なことに、Bloombergによれば、その劣後のプライベートクレジット・スポンサーは、5四半期連続でレッドロブスターへの大きな債務ポジションの評価を上げてきたという。
評価を上げた?!?!
PIKの『魔法』があったようだ。

逃げろ、逃げろ、逃げろ!!!!!」

PIKとはpay in kind(同じもので払う)という取り決め。
つまり、借金の返済に新たな借金を充てるというもの。
こうした債務ではデフォルトは発生せず、不良債権の温床として批判が多い。
ガンドラック氏の読みどおりなら、このプライベートクレジット・ファンドは、返済を追い貸しすることで簿価を上げてきたと推測される。

ガンドラック氏のプライベートクレジット批判は今始まったことではない。
ただし、今回は1つ新たな要素が入り込んでいる。
ガンドラック氏が言及した「『プライベートクレジット』ファンド」とはTCWなのである。

ガンドラック氏はかつてTCWに勤務し、トータルリターン・ファンドで突出した成績を上げるスター運用者だった。
ところが、TCWは2009年に同氏を解雇し、ダブルライン設立に動く同氏を企業秘密を盗んだとして訴えている。
ガンドラック氏は反訴し、2011年陪審はTCWに対しガンドラック氏に66.7百万ドルの賃金を支払うよう命じた。
なお、企業秘密についてはTCWが勝訴したが、賠償金はゼロだった。

ガンドラック氏はTCWを解雇されるとダブルラインを設立。
同じようにTCWから独立してオークツリー・キャピタルを起業したハワード・マークス氏は、ダブルライン株の20%にあたる20百万ドルをオークツリーから投資している。

今回、ガンドラック氏はファンド名を明示していない。
古巣との諍いを避けたのだろうが、内心はいかに。

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