ふくおかFGの佐々木融氏が、全貌が明らかになりつつある日米協調為替介入の後の為替相場について予想している。
「(円安トレンドは)終了しないだろう。」
佐々木氏が自社ビデオで、日米協調介入だけでは円相場のトレンド転換は望めないと話した。
前回1998年の協調介入時には直後に通貨危機・米利下げがあったり、日本が最大の貿易黒字を上げたりと、現在とは大きく状況が異なっていたと指摘。
協調介入の効果は大きいものの、これだけではトレンド転換には至らないだろうとの見方だ。
一方で佐々木氏は、ベッセント米財務長官が日本の利上げを望んでおり、それが実現していくなら円高になりやすくなると話した。
9月の日銀金融政策決定会合で利上げが行われるか、今市場は6割程度しか(利上げを)織り込んでいないが、米国の要求を呑むのなら9月に利上げがあるだろう。
ないなら、また円安が進むだろう。…
米国は四半期に1回ぐらい、1年後には政策金利は2%ぐらいのペースを望んでいるだろう。
そうなるならドル円相場はあまり円安に行かず、150円ぐらいでしばらく上下するのではないか。
そうならないなら、円安にもう1回戻ってくるだろう。
円OIS金利に織り込まれたフォワード金利を見ると
1.25%: 4か月後
1.50%: 8か月後
2.00%: 18か月後
となっている。
期間別のOIS金利とインプライド・フォワード金利

佐々木氏が推測した、米国側の望む利上げペースを達成するには、相当なスピードアップが必要であることになる。
よく知られたように、円の実質実効為替レートは史上最低水準にある。
ドル円と円の実質実効為替レート

これがドライバーになってトレンドが転換する可能性はないかとの質問に対し、佐々木氏はありそうにないと答えている。
「実質実効為替レートの観点から言うと、もはや反転するような下落のしかたではない。…
実質実効為替レートは平均回帰し、一方方向には行かないはずのもの。
それがずっと下がっているので、円は構造的に弱くなっている。」
実質の為替レートとは、換算レートに物価上昇率の差を加味したものだ。
したがって、長期的に為替レートが物価の差によって決まる、あるいは強い影響を受けるとする伝統的な見方からすれば、循環的に平均回帰するとのバランス感覚はまっとうなものだ。
そうした感覚に対して、佐々木氏は平均回帰を予想しない理由を2つ挙げている。
- 実質金利がマイナスなのに利上げできない
- ここまで円安なのに日本企業が外に出ていく
前者は財政従属、後者は構造問題にかかわる点だろう。
アベノミクスの3本の矢で言うなら、皮肉なことにいずれも金融政策が主役の話ではないとも言える。
利上げは1つの本質的な解決策ではあろうが、それも長い目で見れば弥縫策にすぎないのかもしれない。
低い政策金利の背景にある構造的な問題が、循環的だけでなく趨勢的な円安を引き起こしているのなら、問題は深刻だ。
(参考: 【グラフ】日本人の購買力はどこまで先祖返りするのか)
(次ページ: 日米両政府が繰り出すサプライズの可能性)
