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PIMCO:米資産は買われ続けているが、日本国債の魅力も増している

PIMCOのロトフィ・カルーイ氏が、世界の投資家の米資産への投資は堅調と示す一方で、内容については濃淡があると述べている。


2025年4月の『解放の日』が幅広い『米国売り』トレードへの懸念を掻き立ててから1年以上が経ったが、その証拠はまだ存在しない。

カルーイ氏が自社サイトで、心配された米国売り(株式・債券・通貨)の兆候が見られないとのファクトを紹介した。
外国人は依然として米資産を買っており、長期債・信用スプレッド・通貨の「連動した売り」も見られないという。
また、米国債は地政学的リスク等に対しても「ヘッジ手段」として機能してきたという。

ただし、全体としては米資産が売られていないものの、中身には濃淡があるようだ。

「米社債の外国人によるネット購入額は今年記録的な水準に向かっている。
米国債については、外国人によるネット購入額がプラスであるものの2021年以降の最低水準だ。」

ハイパースケーラー等が発行する社債には強い需要が見られてきた一方、米国債はあまり人気がないということだろうか。

カルーイ氏は、米国債の不人気の一因について、日本の長期金利上昇を挙げている。
日本の長期国債の利回りが上昇したことで、日本人にとって日本の長期国債の魅力が増し、米国債の魅力を上回っているためだ。

米国債から他の競合する国債利回り(PIMCOがデータを持っているもの)へ投資家がシフトしたことの最良の証拠となるのは日本だろう。
日本の10年国債の利回りは数十年見られなかった水準に達し、ヘッジコスト勘案後で、米国債利回りと比べ継続的に上回っている。

日本の大口投資家が大きな米国債投資をする場合、少なからぬ部分について為替ヘッジを行うのが通常だ。
為替ヘッジとは実質的に《米ドルを借りる》ことになる。
円より高いドルを借りる場合、金利差(短期が通例)の分だけコストがかかる。
これが為替ヘッジのコストである。
(この他にも需給で決まるベーシス・コストも加算されるが、ここではあえて無視する。)

仮に米10年債利回りが4.6%、日本の10年債利回りが2.8%としよう。
日米短期金利差が2.6%(米3.6%前後、日本1%)とすると、為替ヘッジ付きで米10年債に投資した場合の利回りは出来上がりで2%となる。
つまり、日本の10年債利回り2.8%よりはっきりと劣後してしまう。

日本の長期国債が有利に転じたのは2022-23年頃。
FRBが急激に利上げを行い、日米の短期金利差が大きく開いた頃だ。
現在、日本のイールドカーブは米国のそれよりはるかにスティープになっている。
つまり、為替ヘッジのコストの源泉である短期金利差は大きく、それと比べて長期金利差は小さくなっている。
これが日本の長期国債の相対的な魅力を高めている。

日本の短期金利が低い一因は、日銀の政策金利の低さだろう。

少々奇妙な響きもあるが、日銀が利上げでぐずぐずしているから日本の長期国債の魅力が増している、とも表現できるのではないか。
(もっとも、長期金利が高いという魅力は、発行体である日本政府からすれば悲しむべきことなのだが。)
仮に日銀がどんどん利上げをすれば、インフレ懸念が和らぎ長期金利が低下し、どこかで再び米国債有利の状態になるのかもしれない。

(ここでは為替ヘッジ付きを想定しているため、ドル円市場への影響のない範囲での議論になっている。)

カルーイ氏のコラムのタイトルは「まだ米国を買っている」であり、米資産とりわけ米債券の魅力は健在という趣旨だ。
しかし、コラムの最後には「世界のフィクストインカムでの分散」も有効と言い添えている。

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