米CNBCが、住宅ローンや学生ローンを借りたことを後悔するアメリカ人が増えていると伝えている。
「私の家の価値は、私が予想したほどには上がっていないと感じている。」
ある住宅ローン債務者がCNBCに語った後悔だ。
現状売却すれば売却益は4万ドル(約630万円)だというが、隣の芝生はもっと青かったらしい。
さらにこの人を苦しめたのが、入居時やその後の諸費用だ。
修繕費が高騰する中で、次から次へと必要となる修繕で貯金はかつかつだという。
自分が住む家について含み益を気にするというのは、率直なところどうかと思う。
こうした皮算用はサブプライム/リーマン危機の前にも聞かれた話であり、危うさを禁じ得ない。
とは言え、持ち家政策は多くの国で国民の財産形成のための施策の柱の1つだった。
その点から言えば、こうした感慨もやむを得ないのかもしれない。
一方で気の毒なのは、長期金利上昇にともなう米住宅ローン金利の上昇だ。
Freddie Macによれば今月15日現在の30年固定型住宅ローン金利は平均7.4%と高水準。
CNBCのビデオでも、住宅ローン債務者が「住宅リッチ、現金プア」を感じているという。
(投資対象は違えど、日本のNISA貧乏を思い起こさせる話だ。)
CNBCは、学生ローンについても取り上げている。
大卒は高卒に比べて失業する確率が半分で生涯賃金も120万ドル多いとのことだが、それでも後悔する人が多いのだという。
日本では大学の学費の多くを親が負担しているケースも多いが、米国では学生自ら工面するケースが多い。
ある人は高校卒業後働いてある程度の学費を稼いでから大学に進学し、ある人は最初から借金で学費を賄う。
自ら稼いだり、借金したりして学生生活を送る人たちの大学生活に向き合う姿勢はやはり真剣だ。
彼らは、自分への投資額とそれによって得られる人的資本を強く意識している。
それでも、米国で学費が年々高騰する中、後悔させられる人も多いようだ。
日本では金額が限られているとは言え、公的な奨学金や国の教育ローンが(低利とは言えないかもしれないが)そこそこ低い金利で貸出を行っている。
米国にも同様の公的ローンがあるが、現在の利率は6.5%超となっている。
CNBCでは、大学4年間民間の学生ローン(複利)を借りた人の話が紹介されている。
4年後に卒業する時点で元本12万ドル(約1,900万円)に加え、累計5万ドル(約800万円)の利息が元加されていた。
ちなみに、卒業後の年収は4万ドル(約630万円)だという。
それでも、この人は卒業してそこそこの年収を得たからよかった。
経済的制約を抱えつつ4年間で大学を卒業するのはたいへんで、実際卒業に至らない人も多く、その場合は借金ばかりが残ることになる。
連邦預金保険公社の元総裁シーラ・ベア氏はCNBCで、学生ローンの経済性を事前にチェックすべきと話している。
米教育省では各大学の選考ごとに、継続率・卒業率、卒業数年後の収入、債務額を公開しているのだという。
ベア氏は、その資金使途によって借金の良し悪しを判断すべきではなく、住宅・教育のためであっても借金はレバレッジであることを認識すべきと話している。
レバレッジをかけるべきかは、個々人の置かれた状況に応じて変わってくるためだ。
ここで1つ言及せざるを得ないのは、やはりAI技術の発展だろう。
AIが高度化するにつれ、特に若い世代の雇用が脅かされる状況が生まれている。
過去の計算では採算が取れていたはずが、採算割れするのではとの脅威は拭えない。
これは、教育ローンだけでなく住宅ローンをはじめあらゆる個人ローンにも影響を及ぼすのだろう。
