ポール・チューダー・ジョーンズ氏のインタビュー(2月中旬収録)第2弾: ドル円、ビットコイン、米国株。
市場で面白くなりそうなのはドル円だ。
円はしばらく大きく過小評価されている。
何が(解消の)カタリストの瞬間になるかを自問すべきだ。
チューダー・ジョーンズ氏がInvest Like The Bestで、円がドルに対して過小評価されていると語った。
1つ注意すべきなのは、同氏が単に《円》と言わず「ドル円」と言った点だ。
指摘した円安が絶対的なものか、相対的なものかははっきりしない。
もう1つ注意すべきは、チューダー・ジョーンズ氏が市場の不均衡だけでなく、それが《いつ解消されるか》を重視している点だ。
だからこそ同氏は、想定されるカタリストの予想と理解が必要と話しているのだ。
「(過去)カタリストとなった瞬間は、新大統領・新首相が選出された時だった。
高市首相はロナルド・レーガン、マーガレット・サッチャー、あるいは第2次のドナルド・トランプのすべての特徴を有している。
それらの時に自国通貨がどうなったか見れば、すべてかなり速やかに10%上昇した。」
チューダー・ジョーンズ氏は、高市首相選出によって円高が近いと見ているようだ。
同氏は日本経済の大きな変化を予感している。
「突然、日本では間違いなく半世紀で最もダイナミックなリーダーが選ばれ、起業家精神に満ちた『日本ファースト』の考えで経済を作り変えていくだろう。」
なるほど、高市首相選出はいくつかの点で日本の政治に新しい変化をもたらすだろう。
しかし、果たして高市首相はレーガン、サッチャー、トランプと似た事例と言えるのか?
ざっくりと比較してみよう。
| 政権 | 財政 | 金融 | 為替 |
| レーガン | 減税と軍事費拡大で双子の赤字が拡大 | 当初引き締め(ボルカー・ショック) | 上昇、プラザ合意で下落 |
| サッチャー | 緊縮と民営化、所得税減税と間接税増税 | 引き締め、その後リフレ | 下落から持ち直し。退任2年後にポンド危機 |
| 第2次トランプ | 減税。関税を引き上げたが裁判所からストップ。財政悪化懸念。 | 緩和を要求中 | やや低下したが、まだ高水準 |
| 高市 | 積極財政、産業政策・軍事への歳出拡大。財政悪化懸念。 | 利上げに慎重 | 下落 |
タカ派・軍拡・新自由主義といった点では共通しているものの、肝心の経済政策では似ているようには見えない。
(特にサッチャー政権とは対照的な印象が強い。)
そう考えると、チューダー・ジョーンズ氏の本当の意図を疑ってみたくなる。
同氏は、円が過小評価されているとする理由をいくつか挙げている:
- 日本は4.5兆ドルのネット対外資産を有する。
- その約60%が米国で、ヘッジなしのドル建て債務性資産を莫大に抱えている。
こうしたところを見ても、チューダー・ジョーンズ氏の本心は日本や円だけの話ではなく、米国やドルとの相対的な関係にあるように思われる。
つまり、円の過小評価が解消される過程で、ドル建て債務性資産が売られる、円キャリーの巻き戻し(またはそれと同等の変化)を想定しているのではないか。
これはドル円での円高だけでなく、ドルの絶対的な価値の下落を暗示し、米インフレ、米金利の上昇を連想させる。
(次ページ: ビットコイン、米国株についてのコメント)
