アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が自身のブログで、果敢にSpaceXの価値評価に臨んでいる。
丁寧にDCFを用いるファンダメンタリストでありながら、ベンチャー企業の評価・投資に前向きなダモダラン教授が、ほとんどデータを与えられない中で、SpaceXの企業価値評価に挑んでいる。
まだ財務諸表も公表されていない会社であり、EBITDAの推計値(2025年に80億ドル)こそ報じられているものの、営業利益は不明。
さらに、先駆者であるがゆえに類似企業も皆無なのだ。
ダモダラン教授がこうした評価に臨む時、その手法はトップダウンのプロセスになる。
教授は、SpaceXを3+1の事業セグメントに分類し、評価のための前提を述べている:
- ロケット打ち上げ: 2036年には1,000億ドル市場に。市場シェアは昨年80%だったが将来は70%に。営業利益率は徐々に上昇し40%へ。
- Starlink: 10年後に1,600億ドル市場に。シェア75%、営業利益率60%へ。
- xAI: 主に消費者向けで、2036年の売上800億ドル、営業利益率50%と想定。ニッチな分、再投資も少ない。
- 拡大オプション(上記3事業からの派生事業): 2036年の売上500億ドル、営業利益率30%と仮定。
資本コストは8%を用いている。
急成長を見込むベンチャーとしては低いとも思えるが、ダモダラン教授は以下の理由を挙げている:
- リスクのほとんどは企業固有のものであり、分散ポートフォリオでは軽減される(つまり大きなσでなくβが重視される)。
- 仮に前提から逸脱する場合、下方より上方への逸脱の方が大きそう。
DCFの結果は1.22兆ドル。
モンテカルロ・シュミレーションでは1.28兆ドル。
間を取ると1.25兆ドルになるようだ。
これは2025年売上高の81倍、EBITDAの156倍になる。
《バリュエーション学長》の計算でなければ、即座に無視してしまうような高さだ。
ちなみに市場ではIPO価格が1.75兆ドルと噂されているという。
もしそうなれば、倍率はさらに高くなることになる。
(次ページ: SpaceXのIPO、その先に待っていること。買いか?)
