ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏の米保守派論客とのインタビューがいろいろな意味で興味深い。
今回紹介するのはThe New York TimesによるポッドキャストInteresting Times with Ross Douthatによるインタビュー。
インタビュワーであるロス・ドゥザット氏は保守派の論客。
リベラル色の強いThe New York Timesでコラムニストを務めている。
ダリオ氏は近年、ワシントンの政治家たちに財政再建を促してきた。
これについてドゥザット氏は、ダリオ氏が米国を「何から救おうとしているのか」と尋ねている。
ダリオ氏は即答した。
「財政危機から救おうということだ。」
ここでの「財政危機」がどのようなものか尋ねられると、ダリオ氏はこう続けている。
財政危機とは、歳出の能力が極めて限定されるということ。
つまり、政府が軍事費や社会保障費などを支出できなくなり、大きな制約になるということ。
さらに、需要が供給を満たさなくなり、金利が上昇し、それが借入れを減らし、市場が害される等々が起こる。
中央銀行は貨幣を増発しバランスを取ろうとする。
それがまた貨幣の価値を減じ、スタグフレーションのような環境を生み出す。
すでに莫大な債務を抱えた政府が積極財政を続ければ、少なくとも長期側の金利は上昇し、それが利払い費増大を通して財政支出を圧迫する。
すでに財政危機に達していれば、債務発行による調達も困難になる。
利払い費以外の歳出を減らさざるをえず、軍事費・社会保障費はもちろん広範な公共サービスの停止を余儀なくされるようになる。
ここで興味深いのは、金利低下でなく金利上昇のシナリオとなっている点だろう。
通常、景気後退・不況となれば金利低下を想像する人も多いのだろうが、ここではすでに財政危機に達しているシナリオを論じているから、金利上昇を想定している。
数年前までなら長期債買入れで金利を抑制するシナリオも考えられたのだろうが、インフレ時代の今それをやれば、通貨安・インフレが進みかねない。
最近、日米で長期金利上昇への心配が高まっているのも、こうした可能性を勘案してのことだろう。
(次ページ: 日本型の「持続可能な停滞」)
