ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏は、債務サイクル終期の「赤信号」を示す兆候について列挙している。
今がダリオ流のサイクル論のどの局面なのか自己診断しておこう。
「これは米国で起こっていることだが、一国に限ったことではなく、英国、EU、中国、日本も所得に対して過大な債務を抱えており、政府財政の不均衡が解決されていない。」
ダリオ氏がTIMEへの寄稿で「巨大な債務サイクル」が最終段階に近づいていると書いている。
同氏は、進行状況を知るための「赤信号」を列挙している。
- 政府の歳入に対する利払い費が許容できなくなり、歳出を圧迫する。
- 政府債務の需要に比べ供給が過大になり、長期金利が短期金利より速く上昇する。
- 財務当局が債券(訳注:「bond」、つまりビル(短期債)でないもの)発行を減らすために債務の年限を短期化する。
- 通貨が、特に金のようなハード資産、富の保蔵手段に対して弱くなる。
- 遅れて、金利上昇が株式・不動産など他の投資資産の価格を押し下げ、さらに遅れて、経済を害し信用問題を生み出す。
- 中央銀行が貨幣と信用を増発し、債券を買入れ、債務保証する。
- 中央銀行が大きな損失を計上し、債務を貨幣化する。
- サイクル終期では、政府が債務発行と債務返済負担の間の乖離拡大と資金調達確保を管理するために極端な政策を採用する。
銀行の損失や流動性不足が取り付けを引き起こすため行われる銀行閉鎖・銀行への合併強制、システミックに重要な企業群への異例の金融支援、国外への資金流出防止のための資本規制の設定、金などのハード資産通貨の禁止などだ。- 債務返済が主要な歳出をクラウディング・アウトしたり、債券供給が需要を大幅に上回り金利が上昇したり、中央銀行の過剰な貨幣発行により通貨の価値が下落したりすると、このプロセスが限界に達する。
すべてとは言わないまでも、多くが最近聞いたことのあるような話のように聞こえてくる。
《レイ・ダリオは朝読んではいけない》と言われるゆえんだ。
(誰も朝から1日暗い気持ちにはなりたくないだろう。)
ダリオ氏は、債務性資産の末路について、債務と通貨の価値が十分に下がるか、債務がリストラされるまで、価値が下がると書いている。
ここまでいくと政府債務であっても信認を回復させるのは難しくなり、「魅力ある実質利回りの資産」としての信認を回復するために、ハード・カレンシー(兌換通貨)やハード金融政策(金/銀本位制等)が必要になるのだという。
ダリオ氏は、歴史から学ぶべき教訓を説く。
「投資家にとっての教訓は、次の債務危機の時期を正確に予見しようとしないことだ。
ほとんどの経験を積んだ投資家にとっても、こうしたイベントの時期を予見するのは困難だ。」
ダリオ氏は、時期の予見が困難であることを受け入れ、逆に現実的に可能な対処法を提示している。
代わりに重要なのは、過剰債務が長期的に示唆することを理解し、国・資産クラスで広く分散し、バランスシートの強さを選好し、長期の債務性資産への集中に注意することだ。
政府の債務でない、金のような資産は、政府が債務を貨幣化し通貨の価値を貶めようとしている時には有用な分散の手段になる。
ダリオ氏は、歴史を回顧することでサイクルの先行き、進行度合いをある程度は認識することができると考えている。
政治が早く動けば大惨事は防げるとして、これまでも「3%、3面の解決策」と呼ぶ財政健全化策を提案してきたが、政治家の反応は薄い。
「問題は、政治の指導者や政策立案者がこれを理解し、まだ回避できるうちに行動できるかにある。
もしも彼らが行動しないなら、問題はあなた方が自分自身を守れるどうかになってくる。」
