ジェレミー・シーゲル教授が、珍しく市場・投資の専門家としてでなく経済学者としての意見を語っている。
「今後の主要な課題は、AIの効果がついに生産性統計に表れ始めるかだ。
企業が異例に強い利益成長を維持しつつ少ない労働者で多くを生産できれば、経済はより望ましい生産性サイクルに入ることになるだろう。
それが、利益拡大の継続、インフレ圧力の低下を支え、最終的には金融政策を抑制的でなくすだろう。
(7日発表の)雇用統計は投資家を驚かせたかもしれないが、大括りの数字の裏には、幅広く適応、革新、顕著な頑強性を示し続ける経済が継続している。」
これはシーゲル教授のウィズダムツリーでの週次コメンタリーの最終段落だ。
いつもの教授らしいブルなコメントである。
一方、同じ10日のCNBCで、シーゲル教授は冒頭こう話している。
経済にとって最も重要な変数はインフレでも雇用でもなく、インフレ調整後の賃金だ。
これが実質の購買力を表す。
金曜日(7日)のデータで最もがっかりしたのは、賃金は上がったが、3.2%しか上がらなかった。
水曜日(12日)にCPI統計が発表されるが、3.4%と予想されている。
これが意味するのは、労働者がインフレに負けてしまっているということだ。
シーゲル教授は同じ経済を異なる角度から語っている。
ある意味、米国におけるK字型経済を如実に示すものであり、ある意味、教授がTPOをわきまえていると言えるかもしれない。
もっとも、CNBCの視聴者の多くも、ウィズダムツリーの顧客と同様、資本家なのかもしれないが。
2つの角度から眺めながらも、シーゲル教授の考えは一貫したオーソドックスな見方になっている。
「労働者がインフレに追いつくための最大の源泉は生産性の上昇だ。
率直なところ、過去3四半期の生産性上昇は期待外れだった。」
シーゲル教授は、過去3四半期の生産性上昇が過去15年の平均を下回っていたとし、それが実質賃金の伸びを抑制した推測した。
原因が原油価格上昇なのか別にあるのかは定かではないとしつつ「元の軌道に戻す必要がある」と述べた。
米経済は堅調、企業収益は絶好調なのに、労働者の購買力は改善しない。
シーゲル教授は、このアンバランスの解消をAIによる生産性上昇に期待している。
私の大きな望みは、よく聞かれるように、平均的な企業もAIを活用できるようになり、その恩恵を受けられるようになることだ。
そして、利益率も良くなった、と言えるようになることだ。
この期待こそが株式市場の上昇を支えているのだろう。
私は悲観していない。
