昨日6月30日、ドル円で40年ぶりとなる162円台まで円安ドル高が進んだ。
しかし、本当の円の弱さは40年前とは比べ物にならない。(7/1 浜町SCI)
ドル円(赤、左)と実質実効為替レート(青、右)

出典: 日本銀行
40年前の1986年と言えば、その前年にプラザ合意があった。
プラザ合意ではドル高是正が合意され、円は強くなった。
今はその円が強くなった時点あたりまで戻ったということになる。
プラザ合意の直前はどうだったかと言えば、グラフでは1ドル250円前後と読める。
重要なのは、その当時の円の実質実効為替レートの水準だ。
プラザ合意の前、まだ円が安かった時、同レートは100を超えていた。
今年5月の同レートは65.93。
実質実効為替レートで見ると、円はプラザ合意前よりはるかに安くなっている。
では、実質実効為替レート66とはいつまで遡るのか。
グラフは1970年以降となっているが、その範囲には存在しない。
グラフではその頃のドル円(赤)が表示されていない。
これは、当時が固定相場制(1ドル360円)の時代だったからである。
戦後のドッジ・ラインにより1949年から1971年(ニクソン・ショックとスミソニアン協定)までドル円は360円で固定された。
1971年のスミソニアン協定では円が切り上げられ1ドル308円とされた。
しかし、1973年にはドル売りが止まらなかったために、各国が変動相場制へ移行することとなった。
実質実効為替レートだけを見る限り、日本は1970年以前に戻ったようだ。
1955年頃から1973年頃までの約20年間を日本の高度経済成長期とするなら、高度成長の終わりあたりまで戻ったというところか。
日本は1970年代、安定成長期に移行している。
今後はUターンして、安定成長期に回帰するのだろうか。
仮にさらに遡るとすると、次の節目は途上国への先祖返りだ。
日本が先進国の一員となったのは定義にもよるが、例えば1964年。
OECDに加盟し、IMF8条国となり、オリンピックも開催された。
1964年以前に戻るとすれば、日本人の困窮はさらに極まるだろう。
もちろん、実質実効為替レートが安くなればすべてが先祖返りするわけではない。
しかし、日本人の購買力は相当に弱くなる。
308円、360円の時代の記憶がある世代からよく聞かされた。
当時、海外旅行は一生に一度の贅沢だった。
行ける人はごく一部で、江戸時代のお伊勢参りよりハードルが高かったのだと思う。
ありったけのお金を両替して一族郎党からご近所・友人にまで何かしらのお土産を買い、帰りのスーツケースをパンパンにしたものだという。
それでも、上り坂を上っている時代、みんなそれを楽しんでいたのだと思う。
