スイス人著名投資家マーク・ファーバー氏が、いつか世界的な資産価格のクラッシュが来ると話し、その後の展開について2つのシナリオを提示している。
「現在の世界における過大な金融化や資産価格インフレの環境は、いつか資産価格デフレに転じざるをえないと考えている。
つまり、資産価格のクラッシュだ。」
ファーバー氏がMetals and Minersで、資産価格の暴落を予想した。
一方で、各国が貨幣増発を行っていると指摘し、「現金はもはや安全ではない」と語った。
リスク資産もダメ、現金もダメなら、私たちは何に投資すればよいのか。
ファーバー氏は、1989年の日本のバブル崩壊を回想している。
1989年の日本市場のクラッシュについて私は的確に予想していたが、1つミスを犯した。
当時、日本市場の規模は世界のGDPの50%にも上り、皇居の土地の価値はカリフォルニア州のそれより高かった。
信じられないほどの過大評価だった。
私は、それが崩壊すれば、すべてが崩壊すると考えていたが、そうではなかった。
ファーバー氏は、1989年のクラッシュ後、1990年代にも上昇を続けた市場があったと話す。
もちろん最も顕著だったのが米国株市場だ。
同氏は、日本から流出した資金が米国、特にテック株へと流入し、1990年代終わりからのITバブルの一因になったと示唆している。
ファーバー氏は、今後のクラッシュについて2つのシナリオを想定する。
1つは、日本のバブル崩壊と似たシナリオだ。
「米市場は今も最有力で、外国人は最大の配分を米資産にあてている。…
ある時点で外為規制が課されれば、この資金がいつか流出しうる。
流出が始まれば、新興国市場や欧州株市場の主にバリュー株に流入するだろう。」
ファーバー氏は、さらりと「外為規制」といった想定されるトリガーの例を語っている。
同氏は詳述していないが、マールアラーゴ合意構想のようなことを指すのだろう。
「外為規制」に限らず、現在の米国にはドル離れのトリガーとなりうる材料は少なくない。
ファーバー氏のもう1つのシナリオは、より《終末博士》の異名にふさわしいものだ。
「私は1973-74年、1981-82年を経験しており、その時は最高の企業等も含めすべてが下落した。」
ニフティフィフティ・バブル崩壊やボルカー・ショック級になると、逃げ場所はどこにもないということのようだ。
ファーバー氏は、いずれの結果になるかは「わからない」、「だからこそ分散投資をしている」と説明し、いくつかの資産クラスについて言及した。
- 米10年債:「10年債利回り5%は高いとは思わないが、非課税で年率5%なら投資できるかも。ダウ平均やS&P 500よりはいいだろう。」
- 金:「S&P 500よりは損失が小さくて済むだろう。」
従前から、資産の25%を金・銀に投資するよう奨めている。
いずれも消去法的なコメントだ。
ファーバー氏はゴールド・バグ(金の虫)としても有名だが、次の「クラッシュ」における金の見通しは決して前向きではない。
同氏の予想の悲壮感を感じさせるところだ。
ファーバー氏は、今後の下落過程では異なる資産クラスごとにピークの時期が異なる可能性があり、それはすでに始まっていると考えている。
