IMFチーフエコノミスト、インド中銀総裁を歴任し、現在FRBのタスクフォースのメンバーも務めるラグラム・ラジャン シカゴ大学教授が、8月のジャクソンホール会議期間中にフーバー研究所から受けたインタビューが公開されている。
フーバー研究所(スタンフォード大学に属するが独立した機関)はしばしば保守系と紹介されるシンクタンク。
ポピュリズムをかわしつつインフレと戦ったインド中銀総裁、シカゴ学派の経済学者らしい発言が聞かれた。
以下、注目の発言。
先進各国の債務増加と中央銀行の独立性について
「現在、多くの国の政府債務が、過去数十年そうでなかったのに、心配のタネになっているのは明らかだ。
政府債務を支援する役割に対し中央銀行は長年正しく距離を置いてきたが、それが再び求められるようになっている。」
スコット・ベッセント米財務長官のバイバック・オペについて
「政府は当初摩擦を理由に介入するが、摩擦ではなく、もっとファンダメンタルズに根差すものと気づく。
私たちは第1段階にあり、利回り低下のためには大きな債務を改める必要があるが、すぐには進まないことを理解したところだ。…
利回り上昇は議会に
『みんなしっかりしろ』
とメッセージを送っている。
痛みを我慢すればするほど、最終的な行動はより悪いものになる。」
債務問題対処の機運を高めうる経路について
「貸出金利が上がり、住宅ローン金利に影響するようになると、みんな
『なんで住宅ローン金利はこんなに高いのか』
となり、
『これについて何かしなければいけないのかもしれない』
と言い出す。」
当局による長期金利介入に反対して
「FRBは短期側を操作すべき。
その他の長期金利押し下げを狙ったことはすべて市場介入であり、潜在的に市場を歪める。
市場が正しいシグナルを送るようにすべきだ。
完全に反対しているわけではない。
市場が機能不全になった場合は、一時的に的を絞って均衡に戻すための介入をする。
そして、やり終えたらすぐに離れることだ。」
現在の財政問題を助長したMMTや財政拡大の主張について
「ステファニー・ケルトンが歳出を増やせと主張した時、それが正しい方向でないことは天才でなくともわかったはずだ。
議会には聞きたいことを言ってくれるアドバイザーを探している人が多くいて、彼女の主張は議会の希望と合致している。
少し心配なのは、自分の発言がどう解釈されるか知っているはずの人たちが『今は借りるべき時だ』と危ない橋を渡った点だ。…
そうして、将来的に私たちはその結果に対処しなければならなくなる。」
先進国における財政ポピュリズムについて
「先進国は今、国内の政治闘争や分断に対処するため、もっぱら歳出の紐を緩めている。
これは自然な反応であり、新興国市場を脆弱にしてきた現象だ。…
先進国はこの状況に初めて直面しており、どうやら中央銀行が救ってくれると感じているようだが、それは完全にばかげている。
中央銀行のバランスシートは政府のバランスシートと結びついているものだからだ。
政府のバランスシートに懸念を生じれば、中央銀行の行動にも懸念を生じてしまう。…
中央銀行に魔法の杖などなく、基礎的な経済学どおりで、それからは逃れられない。」
