アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授は、金利上昇の悪影響を恐れ政策の動向を議論することにはほとんど意味がないと語っている。
株式についての金利上昇の影響は、単純な理由からあまり直接的でない。
株式の予想キャッシュフローとは、企業の操業から得られる残余キャッシュフローであり、これは企業における売上高・利益・再投資を反映するものだからだ。
ダモダラン教授が自身のウェブサイトで、金利と株価の関係について論じている。
長期金利上昇が心配され、FOMCを控える中で、冷静な反応を勧めている。
教授は、金利上昇に対する株価の反応は銘柄によって異なるとし、3つのポイントを挙げている。
- 売上高: 実質金利上昇か期待インフレ上昇かによって異なる。インフレ上昇の場合、企業の価格転嫁力が試される。
- 利益: 売上原価・費用・支払利息(ネット)に対する金利上昇の影響。
- 再投資: 「金利上昇でも、インフレ上昇より実質金利上昇の方が大きい場合は、企業は再投資を縮小できる。
少ない投資で合格点のリターンを得られるためだ。
こうした再投資の縮小は短期のキャッシュフローを増やすが、将来の成長を犠牲にする可能性がある。」
要は、金利が上昇しそうだから十把一絡げに心配するのではなく、金利上昇の種類、銘柄ごとの中身をよく見ろということだ。
(FP運営元の浜町SCIではこの観点から、日米の名目金利(名目債利回り)・実質金利(物価連動債利回り)の推移のデータを公表している。)
ダモダラン教授は、今年長期金利が上昇する中でも米国株が持ちこたえてきた理由を企業収益の改善、さらなる改善への期待にあったと分析し、結論を述べている。
FOMC会合が近づくにつれ、金利について、金利の先行きに対しFRBは何ができて何ができないかについての話が増えるだろう。
金利の先行きは引き続きファンダメンタルズによって決まるのだから、そうした議論の多くは的外れだと私は考えている。
実際、2022年以降米10年債利回りは4-5%のかなり小さなレンジに収まっており、実績のインフレが変動を続ける中でも期待インフレが約2.5%で落ち着いていることが大きく効いている。
金利が上または下に大きく変化するには、期待インフレが上または下に抜ける必要があり、そうした軌道をケビン・ウォーシュやスコット・ベッセントが変える手段はほとんど存在しない。
