最近、巨大債務サイクルの最終段階を示す「赤信号」を列挙したレイ・ダリオ氏が、いくつかの信号に相当する足下での出来事を紹介している。
これは、短期金利と比較し長期金利が上昇するにつれ起こる。
各国は短期金利を押し下げようとするが、長期金利は急上昇し、それが今のトレンドだ。
また、ドル安や金価格変動も起こっている。
ダリオ氏が自身のSNSで、現在が巨大債務サイクルの最終段階に近いと示唆している。
先日の「赤信号」リストで言えば、1から4を指しているのだろう。
「1. 政府の歳入に対する利払い費が許容できなくなり、歳出を圧迫する。
2. 政府債務の需要に比べ供給が過大になり、長期金利が短期金利より速く上昇する。
3. 財務当局が債券(訳注:「bond」、つまりビル(短期債)でないもの)発行を減らすために債務の年限を短期化する。
4. 通貨が、特に金のようなハード資産、富の保蔵手段に対して弱くなる。」
ダリオ氏の観察は続く。
まさに今、投資家が心配している状況である。
金利が上昇するにつれ、株式市場が影響を受ける。
債券が下落し株式が上昇し、将来リターンは今や株式が債券と比べ低くなっており、株式市場に幅広くプレッシャーを与えている。
S&P 500の予想PERは19.1倍、実績(TTM)PERは25.9倍(出典:Factset)。
PERが20倍なら益回りは5%、25倍なら4%。
米長期金利との間で逆転しつつあり、これが市場関係者の心配の種になっている。
(注: 理論的には益回りは実質リターンと捉えるべきだが、市場にはこれを名目リターンと見る人も多い。)
「赤信号」リストで言えば、5である。
「5. 遅れて、金利上昇が株式・不動産など他の投資資産の価格を押し下げ、さらに遅れて、経済を害し信用問題を生み出す。」
そして、今週は中央銀行ウィークだ。
この典型的な力学は、FRBが管理に苦戦するスタグフレーション的な環境を生み出す。
現在のスタグフレーションのため、FRBは引き締めか緩和かで葛藤している。
大きな富の格差を抱える経済では、株式を保有するかによって金銭的影響が劇的に変わり、これが大きな政治的示唆を与えている。
中央銀行がハト派的ならば、株式投資家や金持ちが恩恵を受け、タカ派的ならば損をするという図式だ。
富の分布のどこにいるかによって、中央銀行の舵取りが有利・不利に働くか大きく変わってくるのだ。
最近では、中央銀行がタカ派的になりインフレ退治のために短期金利を引き上げれば、インフレ懸念の後退により長期金利に下押し圧力となるのではないかとの声も多く聞かれるようになった。
非常で残酷な面もある市場が、そう優しく取り計らってくれるかどうかはわからない。
ただ、仮に金融が緩みすぎているのならば、それを放置すれば長期金利の上昇圧力になるのだろう。
株式・不動産がどうなるかも大切だろうが、もっと大切なのは「赤信号」リストの6以降まで進むのかだろう。
もちろん決まった未来ではないが、もしも起こるなら、その内容からしてかなり非日常の出来事が多くなっている。
個人・企業の自助努力で難を逃れることはできないのではないか。
