JPモルガン資産運用部門のデービッド・ケリー氏らがサブプライム/リーマン危機を回顧し、住宅ローンの借主に起こったことを語っている。
家を買うべきでなかった人まで家を買った。…
でも、金融についての経験があまりなかった人たちにはいくらか同情している。
ケリー氏が自社ビデオで、2007-08年のサブプライム/リーマン危機を振り返り、住宅ローン債務者への同情を語った。
ビデオでは住宅ブーム/住宅バブルに至った要因がいくつか指摘されている。
- 政府による持家政策
- 住宅神話
- そもそも緩かった住宅ローン審査基準がさらに緩く
- 証券化・再証券化、デリバティブの応用
- 結果として金融システムのレバレッジが高まった
要因はこれだけではあるまい。
重要なマクロ要因として金融政策や世界における資金フローも挙げられよう。
FF金利は2000年5月に6.50%まで引き上げられ、2001年1月から利下げが始まり、2004年6月の1.00%まで引き下げられた。
同月からは利上げに転じ、2006年6月の5.25%まで続き、翌2007年にはサブプライム危機が表面化した。
実効FF金利(青)と米10年債利回り(緑)

また、2000年代前半は米国の経常赤字が拡大した時期でもあった。
経常赤字の必然として諸外国から米国へ大量の資金が流入したこともあり、利上げでも長期金利はさほど上昇していない。
また、流入した資金はMBS等にも向かい、住宅ブームを後押しした。
サブプライム/リーマン危機については規制/政策の不備に対する批判も多い。
実際、このビデオでも多くがそこに割かれているが、ここではあえて住宅購入者/投資家の側に起こったことを紹介しよう。
「率直なところ、彼らは職を守るのに苦労していて、たいして所得も得ていなかった。
ほとんど家族や個人のためのセーフティ・ネットがなかった。
それでも銀行がお金を貸すと言ってきた。
みんな、銀行はケチで強情でなかなかお金を貸してくれないと教えられて育った。
その銀行が『お金を貸す。もっとどう』と言ってきたら、極度型住宅ローンがどのようなものでも借りてしまうだろう。」
金融機関がバブル醸成の先棒を担ぐのは珍しいことではない。
貸出のハードルが下がれば、信用創造が過剰に刺激されてしまう。
「そうして住宅ブームが起こり、住宅転売ブームが起こった。
結果、みんな住宅を買い、ちょっとだけリノベして転売し儲けた。
住宅価格は上昇し、みんな決して下がらないと思い込んだ。」
ブームのようなものは自己実現的サイクルを仮装することが多い。
私たちの周りでも少し前まで似たような光景が見られてきた。
しかし、自己実現的に見えたモノも蓋を開けてみるといつか逆回転することがある。
私たちは今そうした兆しに怯えているところがある。
多くの人は家を持つべきでなかった人たちで、変動金利ローンで借りていた。
金利が上昇すると利払いが増大した。
頭金をかなり大きくしたり、両建てである程度の金融資産を保有しているなら、変動金利ローンも悪いものではない。
しかし、ぎりぎりの資力の人が変動金利ローンだけを抱えれば、金利上昇で起こることは自明だった。
金融機関の側が責められるのは当然だが、買うべきでなかった人が買った、借りるべきでなかった人が借りた点にも問題があった。
しかし、そういう人たちが事前にそのことを理解するのは難しい。
もう少し踏み込んで見ると、問題なのは買ったことだったのか、借りたことだったのか。
おそらく両方を疑うべきなのだろう。
借りない限りは破滅的な結果にまで至ることは少ないのだろうが、だからと言って何を買ってもよいという話にはならない。
私たちの手の中に、買ってはいけないものが入っていないか、冷静に見直すことも必要なのかもしれない。
しかし、繰り返しになるが、凡人がそれを事前に知るのはとても難しい。
