ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏が、AIを素晴らしい投資機会としつつ、驚きの株式将来リターンを提示している。
「もっと心配事を話すことはできるが、同じようにAIが生み出す素晴らしいチャンスも多く存在する。
私はそれ(AIのチャンス)に賭けたいと思う。」
ダリオ氏が自身のSNSで、AIが生み出す投資機会にともなう多くのリスクを解説した上で、それでも同分野に対して前向きな姿勢を示した。
ただし、いつものように条件を付けている。
「うまく分散すること」である。
株式市場の集中度をはじめ、心配事や不確実性も極めて多い。
好調なAI関連へのエクスポージャーを増やすなら、ほとんどの場合、相関の高い投資対象にポートフォリオが集中してしまうことになる。
ダリオ氏は、AIのチャンスに積極的に投資する場合も「どれだけ集中投資し、その後分散するかを自問すべき」だという。
ここまでの主張に驚きはない。
分散はダリオ氏の一丁目一番地だ。
(そして「うまく分散すること」が極めて難しいのも現実だ。)
ダリオ氏はAI分野を有望と考える一方で、株式の将来リターンが低くなるとも予想している。
株式バリュエーションや(最近上昇したと示唆した)独自のバブル指標の分析による推計だ。
これら数字にはかなりの不確実性があるものの、今後5-10年での株式の実質リターンはおよそ-5%から-10%と見ている。
これら株式はデュレーションの長い資産であり、とてもリスクが高い。
確度の高い将来予想がとても難しく、割高に見え、すぐ売ってしまう投資家によって保有されているためだ。
原文を読む限り、1文目の「株式」は米市場を指しているものだろう。
一方、2文目の「これら株式」はAI関連銘柄を指しているように読める。
「今後5-10年での」「実質リターン」「-5%から-10%」とは、名目リターンがわずかにインフレに負けてしまい、投資価値が失われるというイメージだろう。
低い将来リターンと言えば、昨年末時点でのゴールドマン・サックスの予想が思い起こされる。
年率のトータル・リターンで3-10%、中間点 6.5%というものだった。
当時チーフストラテジストだったデービッド・コスティン氏は私見として「分布の下限になるだろう」と付け加えた。
下限を年率3%とすれば、今の米インフレを見る限り、実質トータルリターンはゼロ%近傍、実質プライスリターンはマイナスといったところか。
(コスティン氏は年末に退任された。
もはや強気バイアスを心がける必要がなくなっていたのだろう。)
AIへの投資を有望と認めつつも、それによる集中リスクが将来リターンの重しとなるとすれば、強気派だろうが弱気派だろうが、悩みはいっそう深くなるのだろう。
