ビル・グロス氏が、米国の覇権、AI株についてコメントし、現在手掛ける銘柄を明かしている。
「米国の覇権国としての栄光が脅かされている。
最近では5月初めに習近平がトランプと会談した際、トゥキディデスの罠を明言した。・・・
中国が最終的な覇権の承継者であるとの暗黙の評価は、トランプ政権の短期的な政策では見られないものであり、長期的な見方を示すものだ。」
グロス氏がInvestment Outlookで、米国の覇権が失われつつあると述べている。
「トゥキディデスの罠」とは、米政治学者グレアム・アリソンが提起した国際政治の傾向。
新興国の台頭が覇権国の地位を脅かすようになると、双方が恐怖や疑心暗鬼を抱き、しばしば戦争に発展する傾向のこと。
5月の米中首脳会談では、習主席から米中間での「トゥキディデスの罠」は回避できるかとの問いかけがあったとされている。
グロス氏は、米国が英国から覇権国の地位を継承した際の2つのポイントを挙げている: 自由貿易とドルの支配だ。
ドルの支配を支えてきた財政は徐々に悪化し、自由貿易については現政権により覆されたと指摘する。
ただし、同氏は、覇権が中国に移るとは限らず、ダークホースが存在するとも書いている。
「それはAIという名の覇権国であり、それを御するのが誰になるかはまだ決まっていない。
『HAL』が覇権者とは奇妙だろうが、それが新たな世界なのだ。」
HALとは1968年の映画『2001年宇宙の旅』に出て来る宇宙船ディスカバリー号搭載のAI。
任務と自身を守るために搭乗員を殺そうとする。
どうやら覇権の話はグロス氏のため息、AIの話が本当のInvestment Outlookだったよう。
同氏は、半導体・ソフトウェア関連株式が「カジノのよう」と喩えている。
注意すべきは、AI覇権を争う中ですべての銘柄が上昇することはありえないこと。
ある程度の共生はあるものの、シュンペーターが断じたように、資本主義は自己を破壊する。
注意しろ。
グロス氏はいくつか自身が手掛ける銘柄群を明かしているが、いずれもバリュー色が強いものになっている。
PERが低いか中位の銘柄で、配当利回り4%以上が条件だ:
- キャンベルスープ(CPB): PER 9.5倍、配当利回り7.5%
- UPS(UPS): 同15倍、6.15%
- ベライゾン(VZ): 同9.7倍、6.15%
- BlackRock MuniHoldings California Quality Fund(MUC): 分配金利回り6.0%
また、グロス氏は同日、足下の環境についてツイートしている。
1930年代のコメディアンの言葉「上がっている株があれば買い、上がらないなら買うな」を紹介し、モメンタム・トレードを揶揄している。
「モメンタムのないバリュー株が好調だ。
債券は引き続き価格下落のモメンタムにある。
私はTYM6(7年)(注:2026年6月限の7年もの国債の先物)を売っている。」
長めの米国債は引き続き弱気ということだろう。
