ハワード・マークス氏は、LTCM破綻でパニックに陥ったポートフォリオ・マネージャーを静かに諭した。
この経験談で述べたかったことを次のように語った。
戦うヒーローとは、恐れを知らない者ではなく、恐れつつもとにかく行動する者を指す。
逆に行動できない者についてはこう話している。
もしも、何も恐れることがないようなら、おそらくチャンスはすでに去ってしまっている。
マークス氏は従前から「落ちるナイフをつかみたい」と話してきた。
市場がパニックになり、不合理なほど下げた時、待ちすぎずにチャンスをつかみにいくとの意思表示である。
もちろん、こうした勇気ある投資行動の前提には、クラッシュ以前からの規律や手順があるのだろう。
オークツリーがリーマン危機前にすでに大型ファンドへのコミットメントを得ていたことからも明らかだ。
日頃からの規律や手順といった前提を欠く人が無謀に買い向かえば、失血死の憂き目にあいかねない。
マークス氏の「落ちるナイフをつかみたい」とする行動は2020年のパンデミック時にも見られた。
(FPでは数日おきに同氏の発信を紹介した。)
パンデミックで世界が終わるなら、投資せずに待機資金を抱えていてもしかたない。
終わらないなら、ある程度は戻るはず。
ある意味、究極の選択を下していたのだ。
もっとも、パンデミック時には「決定を下すための先例のデータ」が存在していたから、意思決定は比較的容易だったのかもしれない。
マークス氏はこうした究極の選択に関し「興味深い疑問」を提示している。
AIはこうした思考を行えるだろうか?
これは別の意味でも究極の選択になるのかもしれない。
仮にAIが究極の選択を行えないなら、生身の運用者や私たちは少し安心するところがあるはずだ。
仮にAIが究極の選択を瞬時に行ってしまうなら、私たちが見たこともないような相場になりかねないことを心配すべきだろう。
