アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授は、AIブームが米上場企業の財務にどのような影響を及ぼしたかを説明し、あわせて若い投資家に注意すべきポイントをアドバイスしている。
「米企業が自社株買いばかり行い事業投資を十分に行っていないと批判していた人の多くが、現在は同じ企業に対し自社株買いの割合を減らしAI設備への投資を増やしているとあら捜ししている。
ここから結論されるのは、こうした批判者は、企業が何をやってもあら捜しするということだ。」
ダモダラン教授が自身のブログで、AIブームが米上場企業の財務にどのような影響を及ぼしているか検証している。
その1つが株主還元の後退だ。
事業投資を増やしているのだから当然なのだが、過去20年間でS&P 500企業は利益の80%を株主還元に充てていたが、過去12か月では63%まで低下したという。
ただし、金額ベースでの対2025年比では配当が約5%、自社株買いが約9%の増加となっている。
教科書的な話をするなら、企業は資本コスト(投資のリスクでありハードル・レートの最小限)を上回る事業投資を実施すべきとなる。
しかし、それは教科書的な話にすぎない。
AIのような突出して革新的で有望なテーマでは先行きを見通すのは容易ではなく、それゆえに有望市場での地位を確保するためにチキンレースを強いられる。
こうした状況では資本コストうんぬんの議論をある程度棚上げしてでもアニマル・スピリットを発揮するのは間違いとはいえまい。
だから、企業経営においても市場においてもスタンスが割れている。
誰かが完全に間違っているという話ではなかろう。
ダモダラン教授は、AIブームの結末を市場が先回りすると予想している。
「要するに、AIが予想より順調(不調)ならば、それが財務諸表に現れる前にAI中心の企業の株価は上昇(下落)するはずだ。
簡単に言えば、AIが約束を果たせないケースでは、AI株を売るのにAI投資の減損を待っていれば遅きに失することを示唆している。」
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