PIMCOのティファニー・ウィルディング氏は、米長期金利が金融政策でのサプライズに反応しにくくなっていると指摘し、債券投資へのインプリケーションを述べている。
…インフレ懸念、利上げの可能性、タカ派的だったFOMCのサプライズにもかかわらず、長期のフォワード金利は幅広い範囲で安定したままだ。
ウィルディング氏が自社ポッドキャストで、長期側の金利に対する金融政策のサプライスの影響について論じている。
同氏は、2022年以降、金融政策のサプライズが長期金利を動かさなくなっていると指摘し、今後この傾向を定着させうる2つの原因を指摘した:
- ケビン・ウォーシュFRB議長によるFRBコミュニケーションの変更
- 市場がインフレの原因と考える要因の変化
より具体的に言えば
- 前者: フォワード・ガイダンスの縮小・停止
- 後者: エネルギー価格上昇など供給ショック
であろう。
私たち日本人は、金融政策のサプライズが長期金利に大きく影響するとの感覚が強いのではないか。
日銀の利上げやそのタイミングについて何かニュースがあるたびに長期金利が反応する。
利上げが遅れれば遅れるほど期待インフレやタームプレミアムを大きくするとの類推が働くからだ。
米国でもしばらく前まではそうだった。
しかし、近年の供給ショックの頻発がそれを変えつつあるようだ。
ウィルディング氏は、ウォーシュ議長がデビューした6月のFOMCを振り返った。
「エネルギー市場でのボラティリティ上昇と時を同じくしてフォワード・ガイダンスが減らされたことで、市場は、政策金利の持続的で中期的なシフトを割り引いて受け止めた。」
強烈な供給ショックの衝撃が金融政策でのサプライズを凌駕するようになったとの解釈だ。
ウィルディング氏は今後もこの状況が続く可能性を指摘する。
「フォワード・ガイダンスによる政策アンカーが減らされる中で世界での供給ショックが頻繁に起こるという、マクロのファンダメンタルズの影響が勝るにつれ、短期金利のボラティリティは上昇するだろう。
しかし、最近の関係を見る限り、それは長期金利のボラティリティ上昇とはならないかもしれない。」
仮にウィルディング氏の予想どおり今後金融政策に対する長期金利のボラティリティの反応が小さくなるなら、それは投資にどのようなインプリケーションを与えるだろう。
このことは、全般的に高まった利回り水準やマクロ経済環境の変動激化とともに、リスク調整後ベースで高品質の債券をより魅力的にするもう1つの要因となるだろう。
