アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、投資の世界で進行しつつある大きな変化を指摘し、個人投資家へいくつかアドバイスしている。
私は債券に懐疑的なわけではなくて、必要ないだけだ。
60:40ポートフォリオが適切となるリスク回避をしたくないなら、60:40ポートフォリオは必要ない。
ダモダラン教授がThe Bullで、自身が債券に投資していない理由を話した。
例えば、株式85:現金15のポートフォリオでも必要なキャッシュインが得られるなら、債券に投資する必要はないという。
大学でファイナンスを教え、自ら株式投資も手掛ける教授は(ボラティリティを勘案しても)すでに十分なインカムを得るだけの株式ポートフォリオを築いているということだろう。
「人々が経済より心配しているのは、長い目で見て通貨がどうなるかだろう。
あなたが政府を信じないなら、債券は助けにならない。」
さらに、ダモダラン教授は、60:40ポートフォリオ等が機能しない可能性を指摘し、こうしたやり方が前世紀に機能した理由を解説した。
「20世紀は、米経済が最も安定的に中央回帰した時代だったためだ。
世界が足下で変化している21世紀になっても通用する教訓ではない。
債券は、思うほど安全ではない。」
60:40など、株式と債券で構成するバランス型ポートフォリオは、中央回帰する時に最も有効に機能する。
株式がよければ少し株式を売って債券に移す。
株式が悪ければ少し株式を買って債券を減らす。
これを繰り返すことで、自動的に《Buy low, sell high》を繰り返すことができる。
ダモダラン教授は、これからは必ずしも中央回帰に頼ることができなくなると見ているのだ。
ダモダラン教授は、ほとんどの個人投資家にアクティブ運用を奨めない。
自身の資産はアクティブ運用しているが、子供の資産はインデックスに投資しているという。
彼らには彼らの人生がある。
アクティブ投資はたとえうまくいっても、とても時間を使う。・・・
ほとんどの人にも同じアドバイスをしたい:
どの株を買うか心配するのをやめ、あなたの人生を生きなさい。
ダモダラン教授がアクティブ投資を奨めないのには他にも理由がある。
1つは、アクティブ投資を好む人の考え方に無謀な要素が見られる点だ。
「資産を保全し育てようというのではなく、投資を金持ちになる手段と考えているようだ。
これは投資を始める上で極めて危険な考えだ。
こういう考えだと、取るべきでないリスクまで取りに行こうとしてしまうものだ。」
また、ダモダラン教授は、機関投資家によるアクティブ運用でさえ80-90%がインデックスをアンダーパフォームしている事実を挙げた。
プロでさえ難しいのに、情報・手法が広く知れ渡り、AI活用まで始まった今となっては、オーバーパフォームはますます困難になったという。
ダモダラン教授は、市場全体のインデックス(S&P 500やTOPIX等)だけに囚われる必要はないという。
個別銘柄を選ぶような投資より、(セクターやファクター等で)細分化されたインデックス・ファンドを用いることで自分に合ったインデックスを組成する方が現実的だと話した。
(次ページ: 個人投資家の優位性)
