オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、投資人生で最高の市場予想について振り返っている。
「2005-06年、私は市場について大いに心配していた。・・・
もしもみんながリスク回避的で、リスクに対し報酬を求めるなら、ばかげたリスクテイクは起こらないはずだった。
私の印象は、みんな(ばかげたリスクテイクを)行っている、というものだった。」
マークス氏がTrinity Student Managed Fundのインタビューで、自身の投資人生のハイライトを問われ、米住宅バブルからリーマン危機に至る時期を振り返った。
同氏は、当時の自身の判断・行動を説明するのに、ウォーレン・バフェット氏の有名な言葉を引いて説明している。
マークス氏がたびたび引用するお気に入りの言葉だ:
「『他の人がモノゴトに慎重でなくなればなくなるほど、自分のモノゴトには慎重にならねばならない。』」
マークス氏によれば、当時の「市場参加者は守護者・自警団・規律順守者としての責任を果たしていない」状態だったという。
そのため、不動産投資のほとんどを売却し、大型のファンドを解散し、投資基準を引き締めたのだという。
他の人たちが脇を甘くしダンスを楽しみ続けている中で、投資基準を引き締めるのには困難が伴ったとマークス氏は回顧している。
投資を絞り込む一方で、マークス氏は当時の史上最大を大きく上回る「スタンバイ・ファンド」をローンチし、投資家のコミットメントを得ている。
キャピタル・コール(実際の投資に伴い投資家から資金の拠出を受けること)を行うまではその分の報酬を受けとらないルールだ。
投資ファンド・ビジネスの本質は投資ではなく金集めだ、という見方がある。
キャピタル・コールをして投資を行い、投資残を持てば、その残に対して報酬が得られる。
だから、投資ファンドにはなるべく早くコミットメントいっぱい投資を行おうというインセンティブが働く。
成功報酬もあるものの、投資の成功の是非にかかわらず得られる報酬はやはり安定的かつ魅力的な身入りなのだ。
しかし、マークス氏は投資基準を緩めなかった。
そして、リーマン・ブラザーズの破綻で市場は崩壊した。
マークス氏は自問した。
「今投資すべきなのか、待機資金として持ち続けるべきなのか。」
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