ジェフリー・ガンドラック氏は、米政府・FRBが長期金利を人為的に抑制するのはそう難しいことではないという。
「過去12か月での20年以上の国債の発行は驚くほど低い1.7%だ。
みんなは、ドルや債務管理方法への懸念から、もしも長期金利が高止まるまたは上昇する場合はイールドカーブ・コントロールが行われるのではと話している。
でも、過去12か月での長い国債の発行割合は1.7%に過ぎない。
だから、長期金利をコントロールするにはたいした額を買わなくてもすんでしまう。」
リーマン危機後、各国中銀は長期債を含めて国債買い入れを行った。
これが長期金利を押し下げた。
特に日銀はイールドカーブ・コントロールを明言し、長期金利押し下げを明示的に行った。
しかし、今やFRBはそれを明示する必要も、長期債を買い入れる必要もない。
代わりになんとかして長期債での調達をやめればよいからだ。
このウェブキャストは9日のもの。
その後9-10日のFOMCでは、市場に流動性を供給するとの目的で月額400億ドルの短期国債購入開始が決定された。
まさしくガンドラック氏の予想どおりの展開と言えなくもない。
米政府が長期債で調達しFRBが長期債を買い入れる代わりに、短期債で調達し短期債を買い入れる構図が出来上がったのである。
ガンドラック氏は、こうした長期債務管理への懸念が先進国共通で高まっているとし、それが各国長期金利上昇と金価格上昇を引き起こしたと指摘した。
余談になるが、このポッドキャストの最後でガンドラック氏は興味深いファクトを紹介している。
プライベートクレジットやAI投資の脆弱性に関連して紹介されたものだ。
2022年11月にChatGPT 3.5がリリースされた前後での電力料金についてデータセンターの多い5州と全国平均を比べている。
全国平均こそ横這い圏だが、上位5州ではかなり電力料金が上昇しており、住居向けに限定しても同じ傾向が見られている。
「データセンターが誘致・促進され始めた地域ではいくつかデモが起こっている。
住んでいる人たちは、データセンターと電力料金上昇に相関があることを知っており、望んでいないんだ。」
