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【短信】レイ・ダリオ推奨の「分散」を実現する現実的手段

ダリオ氏の唱える「分散」とは、単なる静的な分散投資ではない。
分散投資の基本中の基本と言えば、例えばインデックス投資だろうが、これは特定の投資ユニバースの中でシグマリスク(ボラティリティによるリスク)を低減する手法にすぎない。
同氏が奨めているのは、特定のユニバースを超えたクロスアセットでの動的な分散である。
いわゆるバランス型ポートフォリオというものであり、ダリオ氏の専売特許であるリスクパリティ戦略が成功を収めた代表格だ。
これは静的な配分ではない。
投資環境の変化、今後の見通しを予想し、リスク/リターンにおいて最良のトレードオフを実現するため、動的に配分を変化させるアプローチだ。
(静的な分散でリターンを減らすことなく80%リスクを低減することはできない。
できるならみんな実行してしまい、効果が低下するためだ。)


ダリオ氏は聴衆に対してこうした分散のゲームプランを持つよう促しているが、それは現実的だろうか。
試しにブリッジウォーターが運用するSPDR Bridgewater All Weather ETF(ALLW)の構成比を見てみるとよい。
リスク管理上の想定元本において、名目国債が株式より多く配分されている。
物価連動債を加えると、さらに差は拡大する。
(これは想定元本であり、実際の投資額はデリバティブを利用しているため異なる。
デリバティブを使うことで、想定元本よりはるかに小さい投資額で済むが、これはデリバティブがリスクを濃縮していることを示している。)

ダリオ氏は、インフレ下で債券の魅力が失われていると言ってきたが、矛盾しているのではないか。
いやいや、そうではない。
国債より株式の方が想定元本に対する変動幅が大きいから、パリティ(釣り合い)を取るのに国債の方が多く必要になるのである。

同ETFに占める株式の割合は23%ほど(2025年9月末)にすぎない。
これは、日本人の平均よりは多いが、米国で一般的とされてきた株式60:債券40のポートフォリオより大幅に小さい。
(現在、米国ではインフレを加味し、株式60では足りないとの意見が多い。)
アメリカ人なみに60/40ポートフォリオを組んでいた投資家は、どう感じるだろう。
いったい何が正解なのか、一般投資家は混乱するのではないか。

想定元本と変動幅、投資環境の把握と見通し、バックテスト、そして動的な配分変更。
ダリオ氏が奨める分散を一般投資家が実現するのはかなりハードルが高い。
現実的なやり方は2つだろう:
優れた運用者が運用するファンドを買うか、真似るか。
いずれにせよ、下駄を他人に任せるような話になってしまう。

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