セス・クラーマン氏は、Bloombergインタビューで、いくつか投資プロセスにおける注意点・信念についても語っている。
(以前の現金保有に対する反省)
それほどの現金を持っていたことは間違いだったと認める。
30%を超える現金を持っていた時期もあり、それが貴重な選択肢を与えてくれると考えていた。
問題は、選択肢を持つことで長い間儲からないことだ。
以前、2-3の大口投資先からエグジットした際、ポートフォリオの30%超が現金になったことがあったらしい。
次のチャンスが来るまで大きな現金保有を続けたが、今では反省しているという。
特にこのマイナス面は、リーマン危機後長く続いた低金利・量的緩和の時期に大きかったと回顧している。
(過度な現金を保有しないために)
そのため戦略を変え、流動性の高い投資先、特に公開株をさらに流動性の高いものにした。・・・
そうして、突然のチャンスを生かすのに多くの現金を必要としなくなった。
過度な現金保有への反省から、現金ではなく大型株を増やすようにしたという。
保有する銘柄の時価総額の規模を高め、いつでも売れるようにすることで、現金を持たなくともチャンスを逃さないようにしているという。
クラーマン氏は(インデックスではなく)流動性の高い大型株を増やしたと話した。
その理由は、同社が目指すリターンの形と関連している。
(相対リターンか、絶対リターンか)
私たちが求めるのは絶対リターンであり、インフレを数百bp上回ることだ。
そうしていれば、市場に対する勝敗は心配しなくてよい。
運用ファンドの目標リターンを《インフレ+数%》としている。
市場が悪化していても、それにともない目標を下げることはしない。
この絶対リターン目標を達成している限り、市場全体に対する相対リターンも自然と良好にキープできるという。
(バリュー投資の要件)
私たちの投資に対する見方は、価値より安く買うということではなく、今後の期待リターンがどうなるか、というものだ。
そして、その投資が(上昇の)カタリストを有しているか問うようにしている。
割安なだけではなく、それが解消されると見込む理由を必須とすることで、バリュートラップを避けているという。
さらに「カタリスト」がいつ発揮されるか、想定する投資期間内に見込めるかが重要だという。
運用受託者としてバウポストが想定する期間は1-2年と短いものになっている。
クラーマン氏は従前からバウポストの目標を(信託報酬の獲得でなく)投資家にとっての投資価値の保存・拡大と明言してきた。
それだけに、同氏の考えは機関投資家のメンタリティというより個人投資家のそれに近い。
いずれも常識的な発言ではあるが、改めて思い起こせば、役立つことも多いはずだ。
バウポストが想定する投資期間は商売柄とても短い。
それに比べれば、個人投資家はむしろ有利なのではないか。
