苗場周辺はバブル期、空前のスキー・ブームもあって、リゾート開発がさかんだった地域だ。
購入者が別宅として買ったのか、投機目的があったのは、もはや重要ではない。
スキー・ブームが去った後、特に苗場は公共交通機関の便がよくないこともあり、利用されることも少なくなった。
さらには数十年経ったことで相続も発生し、いっそう使われなくなったようだ。
かつては不動産として販売されたが、今では負動産(ふどうさん、まけどうさん)になっているのだ。
吉川氏は本書でリゾート施設のいくつかの類型を紹介している。
1つは預託金型リゾートクラブだ。
会員はそこそこ高額な預託金を収める。
クラブは会員に独占的あるいは優先的に施設の利用を提供する。
ただし、これは不動産取引ではないので、本書の主たるテーマではない。
もちろんすべての業者が悪徳・無責任であるわけではなく、まっとうな業者も多く存在するのだろう。
しかし、悪徳・無責任な業者もまた存在するのも事実である。
預託金型クラブの難点は運営者のトンズラや破綻だ。
会員は預託金を取り戻せなくなる。
そこで業者は新たな業態、セールス・トークを考える。
会員は当該不動産のオーナーになり、所有者としての権利を得られますよ、といった形だ。
実際に、所有者として登記されるのである。
ところが、それでも問題は解決しない。
本書のタイトルは「区分所有」という言葉を含んでいるが、中身を見ると、はるかに問題の大きい《共有》という形態に焦点が当たっている。
部屋ごとに所有者が区分所有するのでなく、部屋または棟全体に対し多くの所有者が共有する形態だ。
あるリゾート施設の4-14階部分では「膨大な数の権利者」がいて、法務局で謄本を取ると300ページを超えるのだという。
こうして小分けにすることで、中間層まで販売対象を拡大することができたのだ。
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