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「安定」した株式と「ヘッジ」に役立たない債券:ジェレミー・シーゲル

ジェレミー・シーゲル教授が、短期の相場の話ではなく、長期目線の話を自由に語っている。


著書『株式投資』でのメッセージをまとめるなら、
株式とは、短期的には最もボラティリティの高い資産クラスだが、長期的には最も安定した資産クラスということだ。

シーゲル教授がCreative Planningで、長年伝えようとしてきた最も重要なメッセージを語っている。
このインタビューは短期的なテーマに縛られることなく、教授が本当に重要と思うことが語られている。
この数年の中で最も秀逸であり、必見だ。

長く投資すればするほど、一時的なボラティリティはどんどん気にならなくなっていく。
(ボラティリティの効きは期間nに対して1/√nで小さくなっていく。)
ボラティリティの大半は時間的な平均で無視することができる。
では、残った部分はどうなのか。

「第6版を書き終えた時、初版を見直したら、株式の長期実質リターンは年6.8%だった。
30年経ってどうなったかというと、実質年役6.9%だ。」

もちろん偶然もあろうが、長い時間が経ち経済・市場にも大きな変化が及んだにもかかわらず、株式は安定的な実質リターンを上げている。
シーゲル教授が米国株を「最も安定した資産クラス」と呼ぶゆえんだ。

シーゲル教授はもともとは金融政策を専攻し、シカゴ大学でミルトン・フリードマンの影響を受けた時期もある。
教授はいくつかフリードマンから教えられたことを紹介している。

「『粘着的なインフレとは常に過剰な金融拡張によって起こる。』」

「『マネーサプライの爆発が起こるとすれば・・・間違いなくインフレが起こり、一過性ではなくなり、対処できなくなる。』」

シーゲル教授は第1次トランプ政権以降の財政政策を振り返った:

  • トランプの最初の財政政策は必要だった。
  • 2つめはやや過剰だったが、結果は大丈夫だった。
  • バイデンの5兆ドルが問題で、インフレ(基調)を押し上げた。

シーゲル教授は、過剰な財政政策が金融政策によって支えられた点を問題視している。

「金融政策当局がバイデンに言うべきだったのは、
『やりたいように財政政策をやりなさい。
でも、私たちはそのお金を出さない(訳注:FRBは増発の国債を買い入れないという意味)
お金は債券市場から取りなさい。』
そうすれば、金利が上昇し、支出ブームのようなことは起きなかった。」

シーゲル教授は、パンデミック後の2年間、住宅価格が歴史的上昇を見せた時にMBSを買入れた点を批判する。

「手に負えない価格上昇をしているセクターを支え、買ったんだ。
それに腹が立った。」

価格上昇が問題なのに、それに油を注ぐように政策で支持する。
どこかの国の主食やエネルギーで聞いたような話だ。

さて、マネタリスト シーゲル教授が長期株式投資を推奨する裏のテーマがこれだ:

時間とともにより注目するようになったことの1つは、人々が債券をヘッジ資産として買っている点だ。
債券は株式市場のボラティリティに対するヘッジとしてどれだけ有効なのか?
債券は景気後退、パンデミック、金融危機に対してはとてもよいヘッジだ。
インフレに対してはとても悪いヘッジだ。

シーゲル教授のインフレや財政に対する見通しは決して明るくない。
しかし、3-5年のホライズンでは米国債は大丈夫との見方を示している。
ただし、長期的には問題、何か混乱が起こる可能性がないとは言わない、などいくつも前提を置いている。

このインタビューではこの他にも、トランプ関税、サイバーセキュリティ、電力の安全供給、AIによるなりすまし、銀行規制と暗号資産、日本人の優秀な学生との会話で気づいた米社会の強さなどが語られている。
それほど長いインタビューではないので、通しで聞いてみるとよい。


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