ジェレミー・シーゲル教授が、強気スタンスを継続しつつ、現在の米企業の力強い利益拡大の実相についてコメントしている。
「ほぼすべての主要株価平均が・・・史上最高値から1%内にあるのは、とても驚くべきこと。
最も驚くのは、(米・イランの)敵対が再燃しうるのに、原油が70ドル台の下の方に留まっている点だ。」
シーゲル教授がウィズダムツリーのポッドキャストで、苦笑を交えながら株高・原油安を指摘した。
シーゲル教授は従前から、原油価格が低位で安定するならインフレが鎮静化するとの見通しを示してきた。
原油価格は現実に教授も驚くほど低位で安定してきたが、今回シーゲル教授はクラック・スプレッドの高さについて警戒している。
クラック・スプレッドとは石油精製品と原油の価格差である。
これが史上最高水準にあり、原油価格が低位であってもガソリン価格が下がらない。
教授は、これがインフレ低下の妨げとなり、消費に悪影響を及ぼしうると心配した。
シーゲル教授は、仮にクラック・スプレッドが縮小し、原油やガソリンの価格が上昇しなければ、インフレが鎮静化し、FRBが利上げすることはないとの予想を述べた。
しかし、その場合でもAIブームによるメモリ価格上昇がコアPCEデフレーターに対し前年比50bp程度の上昇要因になりうるという。
こうした心配に触れながらも、シーゲル教授は米経済が現状堅調であると述べている。
そのため、米国市場も「テクニカルに強く見え」るとし、ファンダメンタルズ(「実績の経済データ」)にも悪化は見られないと述べている。
マネーサプライも「健全な速度」で拡大しており、堅調な消費活動が続いているとした。
その一方で教授は、企業利益の急拡大について、やや心配をのぞかせるコメントも語っている。
景気後退からの脱出時を除けば、こんなに大きな利益拡大は初めて見る。
AI関連支出のブームによって、前例のないことが起こり、大きく上回っている。
これは経費率(上昇)によるもので、GDP拡大や消費支出拡大によるものではない。
企業利益拡大の源泉が、生産や消費の拡大によるものではないとの指摘である。
そうではなく、生産のために投入されるリソースの価格上昇に起因するとの趣旨のようだ。
つまり、生み出される付加価値が増えたというよりコストが増えている、というイメージだろう。
このコスト増の少なからぬ部分が、そのリソースの供給者の利益拡大に回っている。
シーゲル教授が、現在も強気を継続しているのは間違いない。
ただし、最近の教授の話には、端々に疑問点や心配事が指摘されていることが多い。
定点観測の観点から言えば、絶対的には強気継続だが、相対的にはやや抑制的になっているようにも感じられる。
