ふくおかFGの佐々木融氏が、為替介入の手段、通貨危機での売り手、資本移動規制について質問に答えている。
「外貨準備の取り崩し以外には考えられない。」
佐々木氏が自社ビデオで、外貨準備の売却以外の為替介入の手段について尋ねられ断言した。
スワップ協定は、まずそもそも介入のためにあるものではなく、短期的な流動性を補完するためのもの。
仮に使ったとしても、スワップで借りて売ったら買い戻さなければいけない。
介入には使えない。
もちろん短期的にはスワップでドルを借りて売れば、一時的な効果があるのかもしれない。
しかし、そう遠くない将来返済が待っているとすれば、介入の効果は、外貨準備の売却と比べて著しく劣るのだろう。
4月28日以降の為替介入の総額は11.7兆円。
介入から2か月余りで、ドル円は介入前より円安水準まで戻っている。
6月末の外貨準備は1.28兆ドル(約210兆円)。
うち外貨(証券・預金)は1.09兆ドル(約180兆円)。
佐々木氏は、近時に投機筋の円売りポジションが積み上がっていることから一本調子の円安進行は予想していないものの、依然として中長期では円安方向を見ているようだ。
同氏は、仮に円安に歯止めがかからなくなるシナリオについての想定を語った。
「仮に、介入が効かなくなり円が大きく下落する、通貨危機のような状況になるようなことがあるとすれば、その時に円を売るのは我々(日本人)になる。
日本人は今1,100兆円の円現金を持っていて、外貨準備は175兆円しかない。
我々が怖くなって外貨に逃げ出し始めたら、外貨準備では止められない。」
佐々木氏は、現状の円安を止めるには介入でなく構造的な問題の解決が必要と話した。
同氏は、日本政府による「資本移動規制」の可能性についても尋ねられている。
ないとは言い切れないが、それをやればいろんなところに影響が出る。・・・
日本はすでに対外投資を多く行ってきている。・・・
円安が大きく進めば政府は規制したいというインセンティブを持つだろうが、実質的には難しいのではないか。
「実質的には難しい」という部分について詳しい説明はなかったが、察するに
社会的混乱を考えると規制が難しい
実効性のある規制を設けるのが難しい
といった趣旨なのだろう。
参考:
通貨防衛・資本流出回避を目的とした資本規制の事例
同 解題
佐々木氏が言うように、西側先進国で資本規制を導入するハードルは相当に高い。
すでに産業・資本が高度に国際化している中で、実効性のある制度になるのかも不透明だ。
一方で、非常事態では先進国でも資本規制が敷かれた例はある。
現在、日本では、国民の国債購入を促すような商品内容の改善が検討されている。
国民が国債購入を増やせば、円安や長期金利上昇に対する摩擦として機能するかもしれない。
地に足の着いた良策ではあろうが、これは裏返せば《消極的な資本規制》と言えなくもない。
海外への資本移動を罰すれば目立ちすぎるから国内を優遇している、と言えなくもない。
国内優遇は、隠れた資本規制の足音かもしれない。
たとえば、NISAやiDeCoにおいて、あからさまな国内優遇でも導入されれば、その時こそ資本規制を真剣に心配すべき時となるのではないか。
